2015 Fiscal Year Research-status Report
サイエンスミュージアムにおけるオープンデータ利活用基盤に関する研究
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15K00448
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 守 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (90367657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 孝美 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (60183977)
浦田 真由 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教 (70634947)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | サイエンスミュージアム / オープンデータ / 情報プラットフォーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ミュージアムにおけるオープンデータの情報共有・配信基盤の構築と,これらを活用したアプリケーションの開発およびその実践的活用を目的とする.特に自治体の出先機関でもあり,同時に生涯学習の場として市民との接点が多いサイエンスミュージアム等では,これまでの行政機関としての情報公開のみならず,新たな学習教材開発等の具体的側面からも各種方策が求められている.本研究では,近年期待が高まるオープンデータ推進を加速させる情報基盤プラットフォームの開発をミュージアムに特化した形で実現する.これによりミュージアムにおける新たな情報共有と配信の仕組みをオープンデータに基づく技術開発によって整備することで,科学館と来館者の双方に利点を提示し,オープンデータ利活用の新たな可能性を明らかにする.研究期間初年度となる平成27年度には、おもに下記2点について研究を実施した。 ・政府が実施する諸政策についての動向および国内外事例の調査 内閣府が推進するオープンデータ推進戦略に関連する各種会議・委員会についての調査を実施したほか、総務省が実施する「公共クラウド」や経済産業省の「共通語彙基盤」などAPI公開が進む関連システムについての調査を行い、今後のミュージアムにおけるオープンデータ推進の可能性についての有用な知見を得た。 ・ミュージアムでの活用に特化したオープンデータ情報基盤にかかる調査と試作検討 オープンデータ配信基盤システムにかかる調査の結果、オープンソースのSPARQL endpointである「Virtuoso」が本研究を進める上で有効であるとの知見を得た。これに基づき構築したワークステーション上にSPARQL endpointを試験導入した。本試作システムの稼働試験を実施し、一定の有効性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内閣府や総務省・経済産業省等のオープンデータに関連する諸政策についての調査を実施するとともに、国内外のオープンデータプラットフォームについて、関連する研究事例についての調査検討を実施した。調査の結果から、本研究が目的とするミュージアムにおけるオープンデータの情報共有・配信基盤構築に必要かつ有効な事例調査結果と知見を得たほか、次年度に実施予定の本格的な情報基盤構築につながる各種の試作試験を予定通り実施することができた。 当初、オープンデータ配信基盤の調査においてApache Jenaプロジェクトによりオープンソースとして公開されている「Fuseki」による試作構築を想定していたが、調査の結果、当ソフトウェアが得意とするオントロジー分野に特化した機能よりも、データ利活用をより効率的に行うことが可能な機能を有するソフトウェア「Virtuoso」の活用を行う方がより望ましいとの結論を得、これに基づく各種検証を実施した。両ソフトウェアは機能の特徴こそ異なるが、いずれも同種の「SPARQL endpoint」であるため、プラットフォーム構築の方向性については当初の予定から何ら変更をもたらすものではないものと考える。 なお研究調査を行う過程において、ミュージアムにオープンデータとして公開するコンテンツの種類の一つに、画像によるオープンデータ公開の有効性が高いことが分かった。次年度の検討課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き関連府省によるオープンデータ戦略の推進状況に注目するとともに、本研究を進める上で必要な調査を継続して実施する。また前年度に試験した「Virtuoso」によるオープンデータ情報基盤の開発を更に進め,想定するアプリケーション開発の着手が可能になった段階で,情報基盤システム開発とアプリケーション開発を並行して実施する.またアプリケーションに必要なオープンデータの生成に至っては,学芸員などの専門家や行政関係者との調整を行い,適切と思われるライセンスを付与する.現段階で想定するライセンスはCreative Commonsの「CC BY」(表示)を基本とするが,調整の状況により「CC BY ND」(表示-改変禁止)や「CC BY NC ND」(表示-非営利-改変禁止)なども許容する.
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Causes of Carryover |
研究計画を遂行するにあたり、物品費および旅費についてはほぼ予定通りの支出となった一方、人件費とその他の支出については予定した支出を下回る結果となった。 まず人件費に関しては当初想定していた外部協力者への謝金として計上していたが、研究実施者のゼミに所属する学部学生および大学院生による実験協力などを主体とした実施により支出を必要としなくなったことが挙げられる。また、その他の支出についても当初、通信費等への支出を予定していたが、研究遂行にあたり実際に支出することはなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(H28)の使用計画として、ミュージアムコンテンツ生成のための物品費にかかる支出が当初の予定よりも増加することが予測されている。したがって次年度においては、H27年度で支出を予定していた人件費およびその他の支出を物品費として計上することを予定している。
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Research Products
(25 results)