2015 Fiscal Year Research-status Report
メディア上における潰瘍性大腸炎に関する医療情報の質の評価
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15K00457
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北 浩樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (40323092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 喜孝 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20250780)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 健康情報 / 新聞 / データベース / 情報リテラシー |
Outline of Annual Research Achievements |
医療情報は医療提供者と患者とをつなぐ重要な要素の一つであるが,近年では患者は医療情報を直接メディアから得て行動するようになってきている.このようにメディア上の医療情報は重要度を増しているが,特定の疾患を対象としてメディア上の医療情報を検証した報告はわずかである.本研究ではメディアとして新聞を選択し,疾患として潰瘍性大腸炎(大腸粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明で有効な治療法のない非特異性炎症性疾患.厚労省の「特定疾患治療研究事業」指定の特定疾患(難病))をとり上げ,全国主要5大全国紙(読売,朝日,毎日,産経,日経)における潰瘍性大腸炎に関する新聞記事459件の概略について予備調査を行った.その結果,研究方法の確認も含め以下のことを確認した. 1.使用する新聞記事データベースの選択:平成27年度では研究対象の概略の把握を目的としたことから,安価で簡略化された各紙独自のデータベースを部分的に用いた.しかし各々のデータベースで検索条件の設定などが異なり,全紙同等の条件下での検索が不可能であった.このため当初の計画に沿って,全紙共通に包括的で詳細な検索が可能な新聞記事データベースである日経テレコン21の使用が必要であることが明らかとなった.2.検索期間:平成27年度では比較的長期にわたる検索期間にて新聞記事の抽出を行った.しかし古い記事は件数も少ないうえに内容も乏しく,今日的な医療情報の評価としては直近の20年間程度の検索期間で必要十分なことが明らかとなった.3.検索キーワード:検索キーワードは「潰瘍性大腸炎」の他に,その略語や類似疾患である「UC」,「IBD」,「炎症性腸疾患」などの検索も試みたが,これらのキーワードによる検索結果は極めて少なかった.研究対象記事件数の確保,研究目的に合致した記事の正確な抽出の観点からみても,検索キーワードは「潰瘍性大腸炎」で十分であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度では研究対象となる新聞記事の概略の確認を目的として研究を遂行した.対象とした新聞は主要5大全国紙(読売,朝日,毎日,産経,日経)である.各紙独自の新聞記事データベース(産経のみ日経テレコン21にて代用)と各々のデータベースの収録期間に沿って比較的長期の検索期間にて検索を行った.検索の概略を各紙別に示す.1.読売:ヨミダス歴史館1992~2012年 123件,2.朝日:聞蔵Ⅱ for libraries 1989~2012年 51件 3.毎日:毎索1972~2012年 59件,4.産経:日経テレコン21 1993~2013年 95件,5.日経:日経テレコン21 1983~2012年 131件. 上記の検索によって,新聞記事データベースの検索過程の評価,検索期間の決定,検索キーワードの選定を行った. しかし,検索記事数が多かったために当初の研究計画にて予定していた全記事の精査が終了せず,類型化の条件の決定が完了しなかったことから,研究対象とする記事の確定に至らなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
1.使用新聞データベースの変更.平成27年度では研究対象の概略の把握を目的としたことから,研究費削減策として安価で簡略された各紙独自のデータベースを部分的に用いた.これを踏まえ,今後は当初の計画に沿って包括的で詳細な検索が可能な新聞記事データベースである日経テレコン21にて全紙の再検索を行う. 2.検索期間.平成27年度では比較的長期にわたる検索期間にて新聞記事の抽出を行った.しかし古い記事は件数も内容も乏しく,近年の検索で十分であること確認した.そのため当初の計画に準じて検索期間を1996年1月から2015年12月までの20年間として再検索を行う.なお研究対象数は十分である. 3.検索言葉.検索キーワードを「潰瘍性大腸炎」のみとしたときに十分な研究対象数が得られなかった場合は,その略語や類似疾患である「UC」,「IBD」,「炎症性腸疾患」などを追加する予定であった.しかしこれらのキーワードによる検索結果が極めて少ないことを確認したこと,「潰瘍性大腸炎」の検索数のみで十分な研究対象数が得られること,また研究結果を明確にすることからも,当初の研究計画にて付加的に予定していた検索キーワードの追加を不要と判断し,検索キーワードは「潰瘍性大腸炎」のみとする. 4.医療情報の類型化と医療情報の質の評価 今後は当初の研究計画に沿い,検索された新聞記事を詳細に分析し医療情報の類型化と医療情報の質の評価を行い論文作成を行う.
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Causes of Carryover |
当初予定していなかった学会出張のため,概算で200,000円の「後年度の研究経費の前倒し請求」を行った.本請求額は原則10万円単位であるため,若干の残金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
後年度の研究経費の前倒し請求による残金のため,次年度使用額の増額は生じない.学会出張費の減額等により,前倒し請求による不足分の調整行う予定である.
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