2015 Fiscal Year Research-status Report
地域における社会的包摂とメディアをめぐる実践的研究
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15K00464
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 明子 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (00351156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 祐子 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (80458942)
伊藤 昌亮 成蹊大学, 文学部, 教授 (80548769)
坂田 邦子 東北大学, 情報科学研究科, 講師 (90376608)
松浦 さと子 龍谷大学, 政策学部, 教授 (60319788)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 社会的包摂 / メディア / 地域 / 排除 / メディア実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はメンバーによる3回の研究会と、外部実践者による2回の研究会、1回のワークショップを開催。 メンバー研究会では,「社会的包摂/排除」概念を用いて研究を進める意義と課題について、隣接領域(教育学/文化人類学/政治学など)による先行研究レビューを行い、包摂が新たに排除を生みだすパラドキシカルな状況を確認した。こうした課題を踏まえた上で、それでもなお排除に対しての包摂を企てていく必要性から、現代日本で、多様なメディア実践がいかに人びとを包摂/排除しているのか。各自の問題関心から事例をもとに検討していくことが中心的課題として確認され、来年度以降の出版を念頭においた調査/原稿の執筆を進めていくことが了解された。 社会的包摂を試みるメディア実践者からの報告会では、まず、NHKで障がいを持つ人びと,いわばマイノリティと呼ばれる人びとを対象に型破りな番組制作を行っている『バリバラ』プロデューサー日比野和雅氏を迎え、具体的な事例報告とともに、多様な参加者とともに、マジョリティがいかにマイノリティと共生していけるのか、それをいかに報道するか、ワークショップ型の講演会を行った(参加者35名)。もう一件はCBCラジオ菅野光太郎氏を招き、ラジオドキュメンタリー「看取りのカタチ」(民放連賞最優秀賞)を参加者とともに聴き、ワークショップ形式で番組を異なる立場から参加者がそれぞれ評価しあう試みを行った(参加者35名)。いずれの研究会においても、一般の人びとや障がいを持つ当事者によるメディア評価やマイノリティに対しての考え方,そして送り手たちの現状認識を共有することにつながった。 また、人びとの声を残すデジタル・ストーリーテリングの試み『メディア・コンテ ピースあいち』ワークショップを行い、戦争を体験した人びとの声をいかに地域の中に残していくのかについて、実践の中から課題を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
状況としてはほぼ計画通りに進展している。今年度は、当初計画した調査というよりも、むしろ理論の検討が中心になっているが、2016年度以降のことを考えると、先に理論検討を行った方が良いように思われたため、順番を入れ替えた。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度に関しては来年度以降の出版に向けて、どのような「社会的排除」が地域社会のなかにあるのか、そして包摂を試みるうえで、いかなる予期せざる排除が生み出されうるのかといった視点を確認しながら、各自が事例を調査する。コミュニティFM、島嶼における包摂と排除、東日本大震災の被災報道、障がいを扱う番組、ネット上の包摂、デジタル・ストーリーテリング,アジア諸国の状況、コミュニティ・カフェなどのテーマが中心となる予定。
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Causes of Carryover |
前年度は予定されていた調査を行わず、かわりに理論検討を行ったため、それをめぐる旅費、調査費等を支出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は前年度に予定されていた調査を各自が行うことになる。
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