2016 Fiscal Year Research-status Report
観点の違いを取り入れた階層構造の構築学習と洗練活動の支援に関する研究
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15K00492
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
東本 崇仁 東京工芸大学, 工学部, 助教 (10508435)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 観点 / 知識の体系化 / 階層構造 / 論理的思考力 / プログラミング教育 / 知識の転移 / 数学学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,27年度までに開発した観点に基づく知識の階層構造化支援システムを応用した種々のシステムを開発し,実践した.特にオントロジー工学の知見を活用した科目の階層構造と,それを複数の教科に展開した階層構造を元とした学習方法の転移システムでは,複数の異なる教科においても観点を変えることで類似した学習方法が転用できる可能性があることが示唆された. また,プログラミング領域においては,要求(問題文)に合わせてソースコードをどのように(How)設計するかという通常のプログラミング学習の観点から,あるソースコードが与えられたときにその要求がなんであったか(What),なぜそのソースコードが作られたか(Why)について考えさせる学習方法を提案した.さらに,How観点とWhat,Why観点の両方を学習できるシステムを開発することで,異なる観点でのプログラムの考え方を学習させる方法を実現した.さらに,システムでは,知識を明示的にチャンキングするための仕組みを関数の構築を通して実現した.これにより,一定の観点で知識を追加していくフレームワークを提供することができた. さらに,一定の観点で思考することを支援するために論理的思考力の育成支援システムも開発した.本システムでは,学習者に複数の命題を与え,それらを事実,論拠,主張に整理させ,論理構造を論証図として作らせることを要求する.さらに,システムは個々の命題を述語論理形式でデータベースとして保存し,学習者が構築した命題の関係性を解析し,適応的な診断を行う機能を有する.これにより,学習者の主張に対して根拠や論拠が間違っていることなどをフィードバックとして実現できた. 数学領域においても,記号的表現と図形的表現の二つの観点を取り扱い,二つの観点の関係性を理解させる学習支援システムも開発した.これにより,2つの観点を統合した思考の育成を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までに複数観点を対象とした知識構造の構築支援システムを論文読解の領域において作成した.平成28年度は,この応用として,プログラミング,論理的思考,数学領域,および複数教科の複合の分野において,観点を意識させるための学習支援システムを開発し,実践し,その効果を確かめることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成29年度は,How,What,Why観点での思考を育成するために,各観点に基づく知識体系を他の観点に変換させる反復学習システムの実現を目指す.さらに,ここで熟達者と初学者の知識体系や変換プロセスの違いを明らかにする.これにより,初学者と熟達者の知識状態や活動の差を定義する.さらに,この差を埋めるためにどのような学習活動を行わせるべきかを検討し,その支援方法を提案する. また,これらの結果の公表について重視する.
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Causes of Carryover |
昨年度記載した事由により,昨年度予算は繰り越しとなったが,本年度は概ね予想通りに支出ができた.ただし,当初の予定より海外出張費が高額となったため,予定していたSurfaceを購入するだけの金額がねん出できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として計上しているMicrosoftSurfaceの購入等を行う.
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Research Products
(12 results)