2016 Fiscal Year Research-status Report
デジタル教材の通読率と授業集中度を向上させるデータマイニングの研究
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15K00498
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
土橋 喜 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00301622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育データマイニング / 学習管理システム / 時系列クロスセクション分析 / 授業集中度 / 閲覧履歴 / 授業改善 / 通読率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では学習管理システムのMoodleを活用し、履修者にデジタル教材を閲覧させる授業において、閲覧時刻・閲覧回数・小テストなどの学習履歴データを収集し、教材の「通読率」と「授業集中度」を高めるための授業改善方法を提案することが目標である。前年度に引き続き当該年度は、デジタル教材と小テストの改善を行った。現在は5科目でデジタル教材を使用し、そのうち3科目では授業中に小テストの実施が可能であり、日常的に学習履歴データの収集を行っている。 また履修者の教材閲覧状況を一覧できる時系列クロスセクション表とグラフを生成するエクセルマクロの開発を継続して行った。開発した時系列クロスセクション表は、Moodleの教材閲覧履歴から自動生成しており、授業時間内および時間外の履修者の教材閲覧時刻や閲覧回数の集計と分析が可能である。教材ごとおよび履修者ごとの閲覧状況の推移について、月毎、日毎、分毎など複数の時間単位の時系列データとして一覧することができる。 開発した時系列クロスセクション表からは、教師の指示から遅れて教材を開く場合や、開かない場合など履修者の特徴的な反応を見出すことが可能であり、通読率や授業集中度を検討するための基礎データとしての活用が期待できる。また時系列クロスセクション表が履修者に与える効果を調べるために、データを匿名化して授業で公開し、履修者の反応をアンケートで調べる予備実験を行い、履修者に与える効果について定量的かつ定性的に把握する方法の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクセルマクロの開発と自動化が概ね順調に進み、前年度において半自動で動作した部分の改善と機能の追加を実施した。その結果、当該年度においては教材閲覧履歴の分析に必要なデータの収集を行うことがより効率的になった。得られた学習履歴データの分析結果から授業中の履修者の反応が観察できるようになったことなど、今後の研究に必要なことが概ね実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したエクセルマクロは、Moodleから閲覧履歴をダウンロードする部分を除き、自動で動作し、授業終了後に活用することに問題は少ない。また実際の授業時間中に試したところ、データ数が多いときやMoodleの利用状況が混雑しているときは、若干時間がかかる傾向があるため、マクロの処理を高速化する工夫を行う。また新たにMoodleのプラグインシステムとしての開発を検討する。 また「通読率」については、最近実用化された電子書籍配信サービスに、コンテンツを開いた時刻と閉じた時刻を記録できるものがあるので活用を検討する。しかし実際にはコンテンツを開いても、居眠りなど何か他のことをしていて見ていないときなども閲覧しているとみなされ、正確に把握できないこともあるため対応が必要になっている。今後はどのように研究すべきか、これまでの授業集中度に関連した文献を調査して方法を検討する。 本研究で提案した手法やシステムは、授業計画→授業実施→学習分析→授業改善→授業計画という一連のサイクルのなかで活用できることが重要と思われ、教師と履修者の双方に対して、具体的にどのような効果があるかを明確に把握することが重要になっている。
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Causes of Carryover |
27年度パソコンを購入予定であったが、28年度も購入しなかったため。 ソフトウエアの開発に必要な専門的知識の提供を受ける予定であったが、次年度に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パソコンを購入する予定。 ソフトウエアの開発に必要な専門的知識の提供うけるために使用予定。
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