2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00505
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
武永 康彦 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20236491)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ゲーム / オンライン問題 / 必勝性 / 計算複雑さ |
Outline of Annual Research Achievements |
オンライン性を持つ1人ゲームとして、ぷよぷよをはじめとする落ち物パズルゲームを取り上げ、ピースの色数や盤面の幅を変化させた場合の必勝性に関する研究を行うことにより、ゲームの必勝戦略や複雑さの要因を明らかにする研究を進めた。これらのゲームは盤面の上部からピースの組が落下してきて、これを盤面に配置することによってピースを消すことが出来る。ピースが一定の高さ以上に積み上がらずに永久にプレイできる場合プレーヤが必勝であると考える。 本年度は、まずぷよぷよにおいて、先読みがある場合の必勝性について研究を行った。先読みとは、落下中の入力のほかにその後に落下してくる数組の入力がプレーヤに明らかにされているもので、実際のゲームでも先読みを見てプレイすることができる。本研究でこれまで考えていなかった先読みが、必勝性にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることを目指した。結果として、先読みの個数を変えた場合にプレーヤが必敗となる色数と盤面の幅の条件を明らかにすることにより、先読みの能力の限界についてひとつの性質を示した。この結果は先読みなしの場合についても従来の結果を改良している。また、幅2で先読みが1個の場合については上記の結果から得られるより少ない5色で必敗となることを示した。 また、他の落ち物パズルゲームとして、コラムスなどを取り上げ、先読みのない場合についての、プレーヤが必勝あるいは必敗となる色数と盤面の幅の条件を明らかにした。この証明において、ぷよぷよを対象とした研究により得られた証明手法が他のゲームにも適用できることが明らかになった。 このほか、ゲーム・パズルの計算複雑さについて研究を行い、対戦ゲームであるQUIXOの指数時間完全性と、正方形を指定された個数だけ作成するマッチ棒パズルのNP完全性を証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンライン性をもつゲームの例としてとりあげ、従来からその必勝性について研究を行ってきたぷよぷよについて、新しく入力の先読みが可能な場合を考え、先読みが必勝性に及ぼす影響の限界についての性質を明らかにした。ここでは新たなアイデアを用いることにより、先読みがない場合についても、プレーヤが必敗となる条件の従来の結果を改良している。また、他の類似のゲームについても、ぷよぷよの場合の証明手法を応用できることを示し、実際に必勝あるいは必敗となる条件を示した。 トリックテイキングゲームについては、その解析が非常に複雑であることが明らかになって来て、オンライン性をもつ場合の解析が現状では困難であると考えられるため、上記のような研究を優先して進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ぷよぷよについては、先読みが可能な場合の必勝性の解析について優先的に研究を進める予定である。まず、先読みが実際にプレーヤに有利に働くことの証明を試みる。具体的には、先読みがなければプレーヤ必勝でない色数と盤面の幅の条件のもとで、プレーヤが先読みを活用することによりはじめて必勝となるケースについてはまだ示すことが出来ていないため、どの程度の個数の先読みがあれば必勝にできるかを解明することを目指す。 また、先読みの限界についてさらに強力な結果を得ることを目指す。幅が1の盤面ではいくら先読みがあっても2色でプレーヤが必敗になるように、盤面の幅にかかわらず、どれだけ多く先読みがあっても色数が十分多ければプレーヤが必敗になると予想しており、その予想を証明し必要な色数を明らかにしたい。 これらについて結果が得られれば、その手法を他の類似のゲームにも適用する。
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Causes of Carryover |
追加内定により科研費が採択されたため、初年度は特に旅費や学会参加費について使用が限定され、本年度への繰越しが大幅に生じた。成果発表・資料収集を積極的に行うなどしたが、その一部が今回の次年度使用額となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度が最終年度となるため、成果発表を積極的に行う予定である。
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