2015 Fiscal Year Research-status Report
大気微小(エアロゾル・PM)粒子の高精度推定:多波長並びに偏光情報の活用
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15K00528
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Research Institution | Kyoto College of Graduate Studies for Informatics |
Principal Investigator |
向井 苑生 京都情報大学院大学, その他の研究科, 教授 (00097411)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | エアロゾル / PM2.5 / 光散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
大気エアロゾルは,衛星並びに地上からの観測を駆使して情報収集解析が実施されているにもかかわらず,深刻な大気汚染,雲との相互作用,森林や農作物などの生態系や人間の健康に与える影響等,未だに取り組むべき課題は山積みで不確定性も大きい.本年度は次の3点に焦点を当てて取り組んだ. 1.甚大な大気汚染の解明,2.多波長・偏光衛星データ解析アルゴリズムの効率化,3.気象衛星ひまわり8号データのエアロゾル(PM2.5を含む)解析システムの開発.項目1に関しては、主として東南アジアにおける焼き畑や山火事に起因する炭素性(バイオマスバーニングエアロゾル:BBA)粒子による大気汚染解析を実施した.項目2は新たに統計手法を取り入れ,エアロゾルモデルの簡潔表現並びに,最終導出過程において最適推定を組み込み,精度向上と効率化を進めた.項目3は高頻度かつ高解像という気象衛星の利点を生かし,地上観測値との精密検証及びPM2.5分布の推定システム開発に取り組んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
来年(2017年)1月打ち上げJAXAから予定の地球観測衛星・気候変動観測ミッション(GCOM-C)データの解析を当面の具体的な目標として,その実効性を検証中であるため.
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べたJAXA/GCOM-Cデータ解析に限らず,地球大気における偏光データ解析には,「地表面反射の偏光特性」「非球形粒子の導入」が不可欠である.地表面反射モデルは,完全自由底面 → ランベルト反射 → Ross & Liモデルを代表とする双方向反射 (BRDF) モデル→ フランスPOLDERグループによる偏光を考慮した(BPDF)モデルへと進化している.ここでは,更にBRDFとBPDFの物理過程を統一したBRMの計算コードの作成と実用化に取り組む.エアロゾル形状を従来の球形で近似できる限界を,先ず地上PMサンプラー計測値から探る.PMサンプリングデータのX線電子顕微鏡写真の解析から大気粒子の大きさ・形状分類,組成分析を行っている.大粒子ほど不規則形状が無視できないのは当然であるが,粒径だけではなく,粒子の種類(組成)による形状の変化も無視できない.原則として粒子の大小にかかわらず,大気粒子の光散乱問題の解析において,不規則形状の考慮は不可欠である.粒子の形状は,放射強度以上に偏光に大きな影響を及ぼすため,非球形粒子による光散乱パターンの定式化,実用化は避けられない.
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Causes of Carryover |
27年度に未使用金が生じた主要な原因は、以下の通りである。 本研究課題の初年度のため、研究補助依頼が9月以降開始となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に国際学会での発表を予定しているため、参加旅費として使用予定。
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Research Products
(10 results)