2016 Fiscal Year Research-status Report
山地森林の霧水沈着分布と空間不均一性の評価手法の開発
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15K00530
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
山口 高志 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 研究主任 (90462316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堅田 元喜 茨城大学, 地球変動適応科学研究機関, 講師 (00391251)
堀江 洋佑 (財)ひょうご環境創造協会(兵庫県環境研究センター), 兵庫県環境研究センター大気環境科, 研究員(移行) (70554525)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 霧水沈着 / 窒素沈着 / エッジ効果 / 沈着モデル式開発 / 過去の霧水沈着トレンド復元 |
Outline of Annual Research Achievements |
霧沈着は大気からの物質除去および沈着の重要な経路であるが、地表状態によってその量は大きく異なり、未だ把握が難しい。本研究は、特に霧の頻発する山地において霧沈着量の高精度評価手法の確立を目的としている。平成28年度は、 研究項目①北海道摩周湖および兵庫県六甲山での測定地点選定と林内雨・林外雨法による測定開始 研究項目②測定結果から森林における霧水沈着量およびその偏在について明らかにする。 ことを目標として調査を実施した。これらの具体的実施状況は以下のとおりである。 (1)六甲山および摩周湖に器具を設置し林内雨・林外雨法により地表への供給水量およびその分布を測定した。その結果、林外雨と林内雨を比較すると、林内では林外雨の80%と少なく、これは遮断蒸発などの影響と考えられる。一方、林縁では120%と多く、霧水などの沈着の寄与があると考えられた。(2)酸素・水素および窒素の安定同位体比の測定を試行し、林縁での窒素へは霧による寄与が多いことが示唆される結果が得られた。(3)環境省主催の第21回全国越境大気汚染・酸性雨対策連絡会議で本研究結果に関する講演を行った。(4)大気環境学会の酸性雨分科会で、本研究に関する発表を行った。(5)H29年3月の生態学会にて、本年度中の調査結果から得られた六甲山における霧水沈着とその偏在について発表と情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、山地森林での霧水沈着量を測定し、その結果から沈着量の偏在程度の把握とその要因を明らかにし、それらを盛り込んだ高精度の霧水沈着量推定モデル式を開発するとともに、広域での霧水沈着量評価を行うことを目的としている。平成28年度は、当初の予定とおり次の研究を遂行した。 (1)六甲山および摩周湖において林内雨林外雨法を実施し、供給水量が林縁部で多いことが明らかとなった。(2)供給水量とその分布に影響する雨量および風速などについての測定を行いデータを取得した。(3)これらのデータから沈着量評価を進めた。(4) 年度内にデータの整理、評価を行い、学会にて発表を行った。 このように、当初予定とおりに調査を遂行できたことから、自己点検結果として「②おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究においては、当初計画とおりに進行予定であり、計画の大きな変更や問題点はない。一部の機材の故障などについては対処を行う。 当初の計画とおり、供給水量の差から林縁での水および窒素などの供給の偏在効果を明らかにし、それを元にモデル式を開発する予定であるが、試行的に安定同位体を用いた霧の寄与割合の推定など実施しており、その結果も含めた検討を行っていく。
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Research Products
(2 results)