2017 Fiscal Year Research-status Report
強太陽光環境下での塩素化ナフタレンの光分解挙動の実態把握
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15K00532
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
羽成 修康 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (10392648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 信義 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (40358255)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 塩素化ナフタレン / 二次元ガスクロマトグラフ質量分析計 / 光分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は当初研究計画(3年間)の最終年であったが、2年目途中からの代表研究者の異動(2017年8月から研究現場に復帰)により、研究実施内容は限定的となったが、得られた成果を報告する。当該年度の目標は、異動により2年目の目標と同様で、75種類の異性体を持つ塩素化ナフタレン(PCN)について、二次元ガスクロマトグラフ質量分析計(GCxGC-MS)を用いて、全75異性体を完全分離すること、及び高山環境にて実際の太陽光照射試験を実施することであった。前者では、低塩素化体をより多く含む飛灰試料を抽出し同定を試みているが、完全分離には至っていない。後者では、米国(ハワイ州)及び中国(雲南省)での太陽光照射試験において、PCNの比較対照として用いたp,p'-DDT及びγ-HCHの分析を実施した。p,p'-DDTはPCN同様に光分解が確認されたが、γ-HCHは光分解されない地点が存在した。この結果は、地点間の光分解経路の差異を示唆していると考えられた。また、地点による光分解挙動の差異をさらに検討するため、上述の高山環境だけでなく、新たな高山環境(中国四川省)や標高の低い地点(中国・北京、インド・ラジャスタン州)も太陽光照射試験に組み込んだ。その結果、標高の低い地点でもPCNやp,p'-DDTの光分解が確認された。つまり、照度だけでなく、光度・光束なども重要な因子であると考えられた。この分解挙動の解明は、既存のモニタリグデータの再評価につながるだけでなく、リスク評価においても興味深い知見であると考えられる。今後は、実環境から得られた照度等データを基に実験室光源を用いた照射試験を実施することで、より正確なPCNの光分解経路を把握することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
弊所キャリアパスに従い2017年7月末まで事務職に異動しており、復帰後も実験棟の空調改修工事が実施されたことから、研究実施が困難であったため。最終年度の1年間延長が認められたため、引き続き目標達成を目指す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
PCN全異性体の完全分離に関しては三塩素化体のみ同定が遅れているが、前年度の推進方策でも述べたように、異なる焼却炉から得られた飛灰試料の抽出をしており、着実に進展している。また、実環境の照度データを収集しており、実験室光源を用いた照射試験の実施にも問題ないと考えられる。 すでに述べたが最終年度の延長が認められたため、十分に遅れを取り戻すことが可能であると思われる。
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Causes of Carryover |
当該年度8月までの1年間、研究代表者が弊所キャリアパスに従い事務職に異動していたこと、及び復帰後実験棟の空調改修工事があり実験室の使用が困難であったことが要因で、研究実施に遅れが生じたため。 最終年度の延長が認められたため、当該年度の使用計画は延長された年度に適用する。
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Research Products
(2 results)