2015 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷初期応答因子によるDNA修復経路選択の制御
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15K00536
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 晃弘 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (70423051)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷初期応答タンパク質であるNBS1タンパク質は、DNA二重鎖切断修復経路の主な二つの修復経路である相同組換えと非相同末端結合の両方の経路に関与している。当該年度の研究では、近年急速に発展してきたゲノム編集技術を用いて、最近我々が発見した非相同末端結合だけに必要な領域を欠失させたNBS1変異細胞の作製を行った。作製した変異細胞のゲノムは確かに狙い通りに編集されていることを確認した。この変異細胞はもとの親細胞と同様の増殖能を示し、欠失させた領域が通常の増殖に必須ではないことが示された。ゲノム編集された変異型NBS1タンパク質の細胞内発現量を調べた結果、親細胞のNBS1発現量とほぼ同程度であることが明らかとなり、この欠失変異がNBS1タンパク質の安定性に影響を及ぼさないことが明らかとなった。NBS1は細胞内でMRE11およびRAD50と安定なタンパク質複合体を形成して存在しているため、この複合体形成についても解析を行ったが、導入した変異によりこの複合体形成に影響はないことが明らかとなった。以上の結果は、導入した欠失変異がNBS1の他の領域の機能に影響を与えていないことを示しており、作製した変異細胞の解析により目的の領域の機能だけを解析できることを示している。すなわち、NBS1の非相同末端結合での機能だけを他の機能と分離して詳細に解析することが可能となった。このような細胞は研究解析材料として極めて有用であり、DNA二重鎖切断がどのような場合にどちらの経路でどういったメカニズムで修復されるのかを解明することに大きく貢献できると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は次年度以降の解析に使用する変異細胞を作製し、目的の変異が導入されていること及びその細胞が解析に使用できるかどうか基本事項を確認することを計画していたが、その計画は予定通り達成され、次年度以降の実験準備が整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進める。
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Causes of Carryover |
年度末から年度明けにかけ研究代表者所属研究機関を変更することとなり、年度末に予定していた国際学会での成果発表を取りやめたため旅費が予定よりも少なくなったことと、キャンペーンを利用して消耗品を安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会発表を次年度に行う。また、次年度での実験を強力に推進するための費用にあてる。
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Research Products
(5 results)