2017 Fiscal Year Research-status Report
放射線耐性細菌含有カロテノイドによる生体脂質構造の防護を介した生体防御機構の解明
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15K00538
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 毅 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (10274143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 電離放射線 / 放射線耐性 / 生体防御機構 / 生体分子損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、電離放射線を始めとする外的ストレスによる生体分子の損傷の詳細を明らかにし、それら生体分子損傷に対する防護機構、修復機構を解析することにより生体防御機構を解明することである。そこで、本年度は大腸菌に対する実験室内適応進化実験を行い放射線耐性大腸菌を作出するとともに、電離放射線を含むDNA損傷剤によるDNA損傷に関する解析を行い、以下の成果を得た。 1)γ線に対する大腸菌の感受性を高い再現性をもって評価できる照射実験条件を検討し、その条件において大腸菌にγ線を照射し、生き残った細胞集団を増殖させ、さらにγ線を照射するという選択操作を繰り返す実験室内適応進化実験を行った。その結果、「大腸菌がγ線に対する耐性を獲得した後、選択回数を増加させてもその耐性が変化しない進化のプラトーが存在すること。」「さらに選択回数を増加させるとある時点より耐性が急激に上昇する、つまりγ線を選択圧とした適応進化の過程において、大腸菌は遺伝的な変異により断続的に進化すること。」が明らとになった。 2)DNA損傷剤であるメチルメタンスルホン酸、ネオカルジオスタチン、およびγ線による、代表的DNA損傷であるAPサイトの生成局在性を解析した。その結果、「メチルメタンスルホン酸はAPサイトをDNA上にランダムに生成するのに対し、ネオカルジオスタチンは大きな局在性を持って生成すること。」「γ線はメチルメタンスルホン酸よりやや局在性をもったAPサイトを生成すること。」が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は、電離放射線を始めとする外的ストレスによる生体分子の損傷の詳細を明らかにし、それら生体分子損傷に対する防護機構、修復機構を解析することにより生体防御機構を解明することである。 本年度は実験室内適応進化実験による放射線耐性大腸菌の作出、放射線を始めとした種々のDNA損傷剤によるDNA損傷の解析を行い成果を上げたが、使用予定であった施設の工事が施設整備計画より約1年半遅れて終了したため、主に生体防御機構に関する解析研究が当初の研究計画通り進まず、研究の進捗状況を「遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において特に注目している放射線耐性細菌の放射線耐性機構には、細胞膜等の細胞脂質部位に局在しているカロテノイドが関与していると考えられている。今後は、リポソームなどの細胞モデル系を用い、γ線等電離放射線による生体脂質を中心とした生体分子の損傷に対するカロテノイドの影響に関して解析を進める。さらに、実験室内適応進化実験により作出した放射線耐性大腸菌の性状を野生株のそれと比較解析し、生物の外的ストレスに対する生体防御機構に関して考察を行う。
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Causes of Carryover |
理由:使用予定であった施設の工事が施設整備計画より約1年半遅れて終了したため、本年度は計画していた電離放射線に対する生体防御機構に関する解析研究が当初の研究計画通り進まず、実験室内適応進化実験による放射線耐性大腸菌の作出、放射線を始めとした種々のDNA損傷剤によるDNA損傷の解析等の研究を行った。本年度行ったこれらの研究は、主に既に購入していた物品、試薬等によって遂行することが可能であったため、次年度使用額が生じた。 使用計画:次年度は当初使用することを計画していた施設を使用することが可能である。そこで次年度は当該施設を使用し、リポソームなどの細胞モデル系を用い、γ線等電離放射線による生体脂質を中心とした生体分子の損傷に対するカロテノイドの影響に関して解析を進める。さらに、実験室内適応進化実験により作出した放射線耐性大腸菌の性状を野生株のそれと比較解析し、生物の外的ストレスに対する生体防御機構に関して考察を行う。これらの研究を遂行するため、次年度の研究費は各種解析用試薬、細胞培養用試薬、プラスチック器具、ガラス器具等の購入費、および研究成果発表、情報収集のために必要な旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)