2017 Fiscal Year Research-status Report
DNA二本鎖切断損傷の非侵襲生体イメージング法の開発:次世代DSBセンサーマウス
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15K00549
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
小池 学 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 主幹研究員(定常) (70280740)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DSB損傷 / センサーマウス / GFP / 修復蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
X線等の放射線やある種の抗がん剤により誘発される様々なDNA損傷の中で、細胞死、細胞老化、変異や発ガン等の原因となりうるDNA二本鎖切断(DSB)はヒトを含む生物にとって最も危険なDNA損傷であると考えられている。他者や私たちのこれまでの培養細胞を材料とした実験から、培養細胞ではDNA損傷直後からDSBセンサータンパク質がDSBを検知し修復を開始することが明らかになってきた。従って、DSBは生体内の細胞でも損傷直後からDSBセンサータンパク質に認識され修復を開始されると予想されるが、生体内でDSBを検出する方法は確立されていない。ヒトを含む哺乳動物のDSBは、非相同末端結合(NHEJ)と相同組み換え(HR)の2つの修復機構で修復されると考えられているが、ヒトを含む哺乳動物の生体では主にNHEJ修復機構により修復されていると予想される。本研究では、生体で損傷直後からDSBを検出し解析するために、DSBと核(染色体)とミトコンドリア構造変化を生体でリアルタイムに検出しトレースするための次世代DSBセンサーマウスを開発することを目指している。本年度は、引き続き、マウス個体での解析を行うための基礎実験を進めた。また、これまでに作出したDNA修復タンパク質と緑色蛍光タンパク質を付加したGFP-XLFを皮膚表皮細胞で安定に発現するマウスの解析を進めるとともに、細胞内の構造とその変化をより高感度に検出するためのマウスを作出するために、同マウスに赤色蛍光タンパク質DsRedを全身で発現するマウス(CAGGS-DsRed)を交配した。そして、得られたマウス産仔の中から2つの導入遺伝子を発現するマウスをスクリーニングし、解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、年度途中に研究代表者の所属等が変更になったこと、所属する組織で統合を含む大きな組織改編後の調整の影響から、諸手続きが遅れたことなどのためにやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている実験を推進するために、マウス個体数を増加させる。同時に、H29年度に行なう予定の研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度使用額が生じた理由:上記の理由で、予定していた研究計画がやや遅れたため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度に遅れている研究を実施するために、繰り越した研究費は使用する予定である。
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