2016 Fiscal Year Research-status Report
福島復興へ向けた放射能汚染地区の木材内部の放射能汚染分布の計測調査に関する研究
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15K00552
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
高田 真志 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 応用科学群, 教授 (50291109)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射能計測 / イメージングプレート / 樹木 / セシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
福島県内で入手した樹木(コナラ)内部の放射能2次元分布を実測した.今年度は地面からの高さが2.5 m, 4.5 m, 7.5 mの異なる高さのサンプルを入手して,水分を保持した状態でサンプル内部の放射能分布を計測した.樹木内部の放射性物質が水分により移動する可能性があることを念頭に置き,できるだけ樹木の状態に近いものとした.サンプル内部に含まれる放射性物質は非常に微量であるため鉛遮へい体内部で1週間イメージングプレートに曝露することで放射能2次元分布を計測できた.サンプルが水分を保持しているため長期間曝露によるサンプル劣化が懸念されたが,その影響は見られなかった.これまで落葉樹(コナラ,クリ)と針葉樹(スギ,ヒノキ)では辺材と心材の相対的な放射能強度の違いを計測できていた.今回,同じ落葉樹でも高さ方向によりその分布が変化することが分かった.心材の放射能は相対的に高さが高いほど同じかもしくは高くなる傾向を示した.また節の部分で特異的に放射能分布が高くなる場所も確認された.これまで心材部分は死んだ樹木細胞であるため放射性セシウムの混入経路が全く分からなかったが,これらの結果とこれまでの乾燥木材中放射能密度公開資料から地面から水溶性セシウムを辺材部分で吸い上げ,それが樹木頂部で還流して心材部分に混入したと考えられる.しかし,まだ断定できないため,これを裏付けるデータを取得していく必要がある.これまでの放射能密度の知見だけでなく,2次元的な放射能分布データを用いることで放射性物質の挙動解明に役立てられると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度,新しいデータを取得することが出来た.しかし測定機会の減少とサンプル入手の困難さから取得データ数が限られている.
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Strategy for Future Research Activity |
これまで入手したサンプルを再計測を行うことで,水溶性セシウムの流れによる仮説を裏付けることを行う.
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Causes of Carryover |
既存装置を利用したり,器材や装置を借りるなどして経費削減に務めたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
より多くのデータ取得するための器材購入と学会発表などに使用する予定である.
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