• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Research-status Report

ナノ粒子曝露により次世代の神経幹細胞に生じる機能障害とマイクロRNA制御異常

Research Project

Project/Area Number 15K00558
Research InstitutionNihon Pharmaceutical University

Principal Investigator

立花 研  日本薬科大学, 薬学部, 講師 (10400540)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsトキシコロジー / 環境 / 衛生化学 / ナノ粒子 / マイクロRNA / 神経幹細胞
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、脳神経系の発達の要である神経幹細胞を対象とし、ナノ粒子曝露によりもたらされるマイクロRNA(miRNA)発現の変化と神経幹細胞の遺伝的・機能的異常との関連を明らかにするとともに、脳機能障害との関連を明らかにすることを目的としている。
平成27年度に、妊娠マウスにシリカナノ粒子を曝露した後、新生仔(1日齢)から脳を採取し、神経幹細胞を単離した。得られた神経幹細胞からゲノムDNAおよびmRNA、miRNAを含むtotal RNAを抽出・精製した。平成28年度は雄性産仔および雌性産仔の各々について、各個体から当量ずつtotal RNAを混和した後、精製を行い、miRNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、雄性産仔由来の神経幹細胞では27のmiRNAが1.5倍以上の発現上昇を示し、60のmiRNAが0.67倍以下に発現低下を示していた。一方、雌性産仔由来の神経幹細胞では、1個のmiRNAが1.5倍以上の発現上昇を示し、303のmiRNAが0.67倍以下に発現低下を示していた。これらの発現変動が見られたmiRNA のうち、雄性産仔、雌性産仔のいずれにおいても2倍以上の発現低下を示すmiRNAが1つ見いだされた。このmiRNAの標的となるmRNAについてin silico解析を行った。3種類の異なる解析ツールを用いて解析を行い、全ての解析ツールに共通する標的候補mRNAを探索したところ、167のmRNAが標的候補として見いだされた。現在、これらの標的候補mRNAが担う機能の解析を進めており、miRNAの発現変動が神経幹細胞の機能に及ぼす影響について検討を行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までに、シリカナノ粒子の胎仔期曝露および新生仔からの神経幹細胞の単離・培養を行い、これらの細胞から得られたtotal RNAを用いてmiRNAマイクロアレイ解析を行った。雄性産仔由来の神経幹細胞、雌性産仔由来の神経幹細胞のいずれについても発現変動するmiRNAが多数見いだされ、特に1つのmiRNAについては雄性産仔、雌性産仔のいずれにおいても2倍以上の発現変動が認められ、シリカナノ粒子の胎仔期曝露による健康影響に関与することが予想される。現在、このmiRNAの発現変動が神経幹細胞の機能に及ぼす影響について解析を進めている。
以上より、当初の研究計画から若干の遅れはあるものの、当初の計画にしたがって進行しており、おおむね順調に進展していると考える。

Strategy for Future Research Activity

現在、miRNAマイクロアレイ解析から、シリカナノ粒子の胎仔期曝露によって発現変動するmiRNAを見出した。このmiRNAについてin silico解析を用いて標的候補遺伝子を抽出した。見いだされたmiRNAの標的候補遺伝子について、RT-PCRおよびウェスタンブロット法によりmRNAレベル、タンパク質レベルでの発現量の変化を調べ、miRNA発現変動との関連を検討する。
また、神経幹細胞について、ナノ粒子曝露が増殖能・分化能に及ぼす影響を検討する。神経幹細胞は、血清・分化誘導剤等を培地に添加することで種々の神経系細胞に分化を誘導することが可能である。このことから、上記の神経幹細胞に分化誘導を行った後、各種神経系細胞のマーカーに対する免疫染色を行い、分化後の各種神経系細胞の存在比(各種神経系細胞への分化のされやすさ)を明らかにする。免疫染色後の各種神経系の細胞は、レーザーマイクロダイセクションを用いて細胞種ごとに分取し、以後の解析に供する。
さらに、神経幹細胞を分化させて得られた各種神経系細胞から、mRNAおよびmiRNAを抽出し、定量的RT-PCRを行い、ナノ粒子曝露による発現パターンの変動を明らかにする。特に、各種神経系細胞のうち分化の割合が大きく変化した細胞種に注目する。各種神経系細胞への分化のバランスの変化について、神経幹細胞と神経系細胞におけるmRNA、miRNAの発現プロファイルを比較することで、ナノ粒子曝露により生じる各種神経系細胞への分化に対する影響と、それに関与するmiRNA、mRNAを同定する。

Causes of Carryover

現在まで研究費は研究計画にしたがって使用している。次年度使用額として計上した研究費は、使用後に残った小額の研究費であり、単独では必要な試薬類の購入に使用しにくいため生じたものである。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成28年度に未使用となった研究費については、次年度使用する予定の研究費と合わせることで有効に使用し、当初の計画にしたがって適正に使用する予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2017 2016

All Presentation (5 results) Book (1 results)

  • [Presentation] ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のPXR、CARおよびPPARα活性とシトクロムP450活性への影響2017

    • Author(s)
      服部祥子、渡部容子、立花 研、小島弘幸、吉成浩一、北村繁幸
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Year and Date
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [Presentation] 合成ムスク類のラットin vivoにおける肝シトクロムP450活性への影響2017

    • Author(s)
      渡部容子、服部祥子、立花 研、佐能正剛、太田茂、北村繁幸
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Year and Date
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [Presentation] パルマチンは単球系THP-1細胞におけるLPSによるTissue factor発現誘導を抑制する2017

    • Author(s)
      広田あずさ、石山俊介、平沢百合、立花 研、高野文英、樋口敏幸
    • Organizer
      日本薬学会第137年会
    • Place of Presentation
      仙台
    • Year and Date
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [Presentation] 二酸化チタンナノ粒子胎仔期曝露が脳のDNAメチル化レベル及び遺伝子発現に及ぼす影響2016

    • Author(s)
      立花 研、川副 翔太郎、梅澤雅和、武田 健
    • Organizer
      フォーラム2016 衛生薬学・環境トキシコロジー
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2016-09-10 – 2016-09-11
  • [Presentation] in vivoにおけるラット肝シトクロムP450活性に対するリン系難燃剤の影響2016

    • Author(s)
      渡部容子、杉原数美、立花 研、佐能正剛、太田茂、北村繁幸
    • Organizer
      フォーラム2016 衛生薬学・環境トキシコロジー
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      2016-09-10 – 2016-09-11
  • [Book] DNA Methylation: Patterns, Functions and Roles in Disease2016

    • Author(s)
      Tachibana K., Takeda K.
    • Total Pages
      213
    • Publisher
      Nova Science Publishiers, Inc.

URL: 

Published: 2018-01-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi