2015 Fiscal Year Research-status Report
巻貝類において発現する核内受容体の機能解析および環境化学物質に対する応答性評価
Project/Area Number |
15K00560
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
廣森 洋平 金城学院大学, 薬学部, 助教 (60515956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 久光 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40141395)
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (50303988)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 核内受容体 / クロアシカサガイ / PPARγ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、巻貝類における核内受容体の機能解析を行うと共に、環境化学物質に対するこれらの応答性についても検討することで、環境化学物質の巻貝類に対する生体影響を予測するための分子基盤を構築することを目的としている。 本年度は、遺伝子配列が解明されていないクロアシカサガイのPPARγのクローニングを行った。各動物種間で比較的良く保存されているDNA binding domain (DBD)配列をPCRにより増幅し、それを元に、 3'RACE 法により 3'側の未知配列の解明を、5'RACE 法によって 5'側の未知配列の解明を行うことに成功した。 明らかになった配列を元に、他動物種と比較を行った。比較対象はヒト、水生生物であるウミヤツメおよびエイとした。これまでに我々は有機スズ化合物がPPARγアゴニスト活性を発揮するに当たり、ヒトPPARγの285番目のシステイン(C285)が重要な役割を果たしていることを明らかにしている。この点に着目して比較結果を見たところ、ウミヤツメ、エイはC285に相当する部分がともにシステインだったのに対し、クロアシカサガイはチロシンであった。この結果から、クロアシカサガイPPARγはヒトPPARγとは異なり、有機スズ化合物がリガンドとならない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロアシカサガイPPARγのクローニングは当初時間がかかると予想されたが、予定より早く本年度中に完了することが出来た。一方で、本年度はヨーロッパチヂミボラPPARγを用いたリガンド結合実験を行う予定であった。本実験では組み替えタンパク質を作成する必要があるが、当初発現を試みた条件では、組み替えタンパク質が不溶化してしまう問題が発生し、本年度は結合実験を行うところまで進展しなかった。しかし、組み替えタンパク質を発現させるプラスミドの組み替えを行い、より低温で発現を誘導させる事で、組み替えタンパク質を不溶化させることなく得ることが出来るようになったため、検討を進める目処は立っている。 以上のことから、順序は前後しているものの、研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
リガンド結合実験を行う目処が立ったため、ヨーロッパチヂミボラPPARγがどのような化合物と結合するか検討を進める。また、クロアシカサガイPPARγについても同様に組み替えタンパク質を作成し、リガンド結合実験を行う。これと平行して、レポーターアッセイによりこれらの核内受容体の応答性についても評価を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、ヨーロッパチヂミボラPPARγの組み替えタンパクを用いてリガンド結合実験を行う予定であったが、組み替えタンパクが不溶化しない条件を検討する必要があったため、本年度はリガンド結合実験を行っていない。それに伴って、リガンド結合実験に使用する試薬(RI核種など)の購入を行っていない。そのため、実際の支出額が当初の支出予定額を下回り、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度行うことが出来なかったリガンド結合実験に使用する試薬購入に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Structural basis for PPARγ transactivation by endocrine-disrupting organotin compounds.2015
Author(s)
Harada S, Hiromori Y, Nakamura S, Kawahara K, Fukakusa S, Maruno T, Noda M, Uchiyama S, Fukui K, Nishikawa J, Nagase H, Kobayashi Y, Yoshida T, Ohkubo T, Nakanishi T.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 5
Pages: 8520
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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