2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00562
|
Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health, Japan |
Principal Investigator |
大谷 勝己 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 有害性評価研究グループ, 上席研究員 (50333373)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 健一 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 健康障害予防研究グループ, 主任研究員 (00332396)
|
Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 新規の精子試験法 / 尾部精子形態 / 精子代謝能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、既に精子への影響の明らかなジブロモクロロプロパン(DBCP: 25 -100 mg/kg)、および精子への影響が不明確な1,2-ジクロロプロパン(DCP: 250-1000mg/kg)をラットに週2回4週間皮下投与して(全8回)開発を試みた。対照群には溶媒を投与した。1週間後、精子を培地中に浮遊させ、精子自動解析装置(CASA:ハミルトン社製IVOS)により精子運動能および精子数の測定を行った。また、テトラゾリウム塩(WST-8)法により精子ミトコンドリア代謝能を測定した。さらにCASAにおける拡大画像を保存し、後日呼び出し、短尾精子、未成熟精子、無頭精子、無尾精子、首折精子を目視計測し最終的に正常精子率を求めた。その結果、DBCPの75 および100 mg/kg投与群において有意な精子数減少と運動能の急激な低下を認めた。正常精子率もまた同投与群において減少していた。また、頭部・尾部離断精子が同群で顕著に多く認められた。WST-8法による精子代謝能も同群において有意な低下が認められた。他方、DCPでは精子数および精子運動能にはいかなるパラメータにおいても有意差を見いだせなかった。しかし正常精子率は全ての投与群において減少を認めた。また、未成熟精子および頭部・尾部離断精子が全ての群で有意に増加した。また、WST-8法では500および1000 mg/kg投与群において有意な低下が認められた。以上よりDBCPの影響として精子数の低下、精子運動能の低下は従来から認められていたが、運動能低下の原因は離断精子の増加によることが明らかとなった。DCPの精子への影響は十分に確かめられていなかったが、精子数、精子運動能の影響が認めらないところで代謝能および精子形態には変化が認められた。新規精子試験法(精子代謝能測定法、精子尾部形態測定法)で試験することは生殖毒性試験をする上で有用と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本課題は年度後半に追加で採択され、初年度は期間も短く(実質4か月)、しかもテトラゾリウム塩の選択、尾部形態異常の判断基準の確立に時間がかかり、ラットでの検討に終始して、マウスでの検討には至らなかった。また、予定していたテトラゾリウム塩のうち入手困難なものがあり、一部のスクリーニングしか行えなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はマウスで同様の実験を行うとともに、30種類以上のテトラゾリウム塩を一斉にスクリーニングし、重金属や有機リン殺虫剤投与などによる応用段階に入り、次の試験法開発に着手予定である。
|
Causes of Carryover |
平成27年度途中に採択されたため実質4か月での実験だったこと、入手しづらいテトラゾリウム塩があったことから、ラットを用いた実験に絞り、また限られたテトラゾリウム塩での実験に絞り検討を進めてきた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に実験を行えなかったマウスの購入および前年度に揃えられなかったテトラゾリウム塩の購入に研究費を使用する。ラットにおいて新手法の有用性は確認できてきたため、マウスでの同様の成果が期待される。
|
Research Products
(1 results)