2016 Fiscal Year Research-status Report
再訪調査による東日本のミズナラ林の30-40年間の植生変化とその要因の解明
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15K00564
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
星野 義延 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00143636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正人 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80313287)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミズナラ林 / 再訪調査 / 東日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本の主要な二次林であるミズナラ林において、管理放棄が進行した1970~80年代から現在までの30年~40年間に植物の種組成や種多様性にどのような変化が生じたのかを、1970~80年代に申請者が植生調査を行った地点に再訪して同一方法で調査を実施する再訪調査という手法を用いて研究を行っている。 本年度は、前年度に収集した植生調査資料を集計・解析して植生学会大会で発表を行うとともに北海道および東北地方での再訪調査を実施した。 再訪調査は北海道の道北・道央と道南地方で67地点、東北地方では、青森県の津軽地域秋田の鹿角地域・岩手県二戸地域で11地点、合計78地点の植生調査資料を収集した。 昨年度に北海道東部地域を中心に得られた再訪調査の調査資料60点をもとに植生変化を解析した結果、北海道ではかつて林内に生育していた草原生の植物が大きく減少していること、これに変わって森林林床生の植物が増加していることがわかり、森林の発達による林内環境の変化が種組成変化に大きくかかわっていると考えられた。また、調査区当たりの出現種数であらわされる種の豊かさは、1970~80年代よりも減少しており、減少率はシカの生息痕跡や食痕などが認められる調査区よりも、シカの影響のない調査区で減少率が高くなっていた。これら一連の成果を2016年10月23日に開催された植生学会第21回大会においてポスター発表を行った。 その後、2016年に北海道で得られた資料も加えて解析を進め、北海道東部で確認された植生変化の傾向が北海道全体でも認められることが分った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
北海道での現地再訪調査は順調に進んでいるが、東北地方での調査が今年度は十分に進めることができなかった。データの解析や結果の取りまとめについては順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる今年度は、未調査地点となっている東北地方日本海側の再訪調査を行う。関東・中部地域の調査については一部に2009年~2010年に再訪調査した地点があることから、資料のない地点を中心に現地調査を予定している。2015年と2016年に収取した北海道の植生調査資料を解析して、2017年6月にイタリア・パレルモで開催される第60回国際植生学会で発表するとともに、解析やとりまとめ、論文執筆を進め、Journal of vegetation scienceへの投稿を予定している。 さらに、東北地方の植生調査資料も加えて、この30年間の気温上昇の影響がミズナラ林の種組成に影響しているの否かを指標性のある植物種の挙動の解析を通して検証する。
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Causes of Carryover |
物品費の見積額より安価に購入でき、執行額との間に差が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の物品費に加えて執行する。
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