2015 Fiscal Year Research-status Report
アパタイト/ゼオライト複合多孔体及び複合薄膜による放射性物質除去に関する研究
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15K00578
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾関 和秀 茨城大学, 工学部, 准教授 (20366404)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゼオライト / ハイドロキシアパタイト / 多孔体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、当初計画の通り、ゼオライト/ハイドロキシアパタイト(HA)複合多孔体作製のために、シリカガラス/HA多孔体の作製を試みた。シリカガラス固化体は作製できたが、ゼオライト変換のための水熱処理において、強度が非常に弱くなることが明らかになった。水熱条件をいくつか変更したものの、強度向上には至らなかった。このため、代替え案として当初から計画に盛り込んでいたゼオライト及びHA粉末を用いた焼結による多孔体作製に切り替えた。多孔化を行うため、新たにゲル化凍結法を用いて、多孔体を作製した。多孔体の形状は、直径20mm、厚み5mmのペレット形状とし、ゼオライト及びHA粉末にゲルを加え、このスラリーを型に入れて凍結固化し、更に真空凍結によりゲルを気化させた。最後に、機械的強度を向上させるため、500~800℃で焼結を行い、多孔体を得た。SEMによる観察結果では、2~5ミクロンのゼオライト粒子上に、0.05~0.1ミクロンのHA粒子が堆積し、0.02~0.2ミクロン程度の細孔が形成されていた。この気孔径や気孔数は、配合するゲル比率や凍結温度により大きく変化したものの、加熱温度による差は認められなかった。気孔率は最大で、18%程度であり、曲げ強度は500℃加熱で0.32MPaで、800℃加熱では0.46MPaと加熱温度上昇に伴い、上昇した。また、気孔のない複合体では、500℃加熱で1.3MPa、800℃加熱で1.7MPaであり、多孔化することにより、曲げ強度は1/4程度に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の計画では、多孔体の作製を試みること掲げられていた。当初予定のシリカガラスを用いた多孔体作製については、強度低下の点から進めることができなかったが、代替手法として、当初から計画されていた手法を用いて、多孔体を作製することに成功した。以上より、研究はおおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は当初計画の通り、平成27年度に作製したゼオライト/HA複合多孔体のセシウム及びストロンチウムに対する吸着性能の評価を行う。また、気孔率及び加熱温度による吸着能の関係についても明らかにしていく。 さらに、当初計画にあるスパッタリング法を用いたゼオライト膜の形成に着手する。
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Causes of Carryover |
当初、予定していたシリカガラスを用いた多孔体の作製が強度の点から、進めることが出来なかったため、一部、計画に遅れが生じ、次年度での使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「今後の研究の推進方策」でも記載した通り、ゼオライト/HA複合多孔体のセシウム及びストロンチウムの吸着特性と気孔率の関係を明らかにする予定である。これに伴い、多孔体の効率的作製を可能とするため、凍結乾燥器の使用を検討している。
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Research Products
(1 results)