2016 Fiscal Year Research-status Report
アパタイト/ゼオライト複合多孔体及び複合薄膜による放射性物質除去に関する研究
Project/Area Number |
15K00578
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
尾関 和秀 茨城大学, 工学部, 准教授 (20366404)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ゼオライト / ハイドロキシアパタイト / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、H27年度に課題として残っていたゼオライト/ハイドロキシアパタイト複合多孔体内部の気孔不足を補うため、ゲル化凍結法において、新規に購入した凍結乾燥器を使用したゼオライト/ハイドロキシアパタイト複合多孔体の作製を行い、当初計画であったセシウムとストロンチウムの吸着能の評価を行った。専用装置で均一な凍結乾燥が行えた結果、多孔体の内部には、5~20μmの気孔が存在し、ゼラチンの充填量の増加と伴に、多孔体の気孔率が増加することが明らかとなった。また、セシウム及びストロンチウムの吸着量とゼラチン充填量との間には相関は認められず、0.1mol/lのセシウム及びストロンチウム溶液中の吸着率は、それぞれ30mg/g及び140mg/g程度であった。H28年度後期においては、当初計画の通り、スパッタリング法によるゼオライト薄膜の作製を試みた。珪藻土をターゲット原料として、基板上にコーティングを行い、X線回折法による結晶相の同定を行った。後処理を行っていない薄膜においては、結晶相が認められなかった。そこで、後処理として、水熱結晶化を行い、同様の分析を行った。その結果、水熱結晶化後は、薄膜のX線回折測定により、Na(AlSi2O6)やNa1.82(Al2Si3O10)に帰属するピークが認められ、スパッタリング条件によって、優先的に析出する結晶相に変化が認められた。また、スパッタリング条件の圧力5Paでは、電子顕微鏡観察でも、はっきりとした結晶粒子を確認することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H28年度の計画では、ゼオライト/ハイドロキシアパタイト複合多孔体のセシウム及びストロンチウムに対する吸着特性の評価、スパッタリング法によるゼオライト膜形成が掲げられていた。ゼオライト膜作製については、所望するゼオライト膜の形成と一部マスクパターン形成の着手には至っていないが、その他の点については計画通り推移していることから、概ね順調に推移していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
H29年度は当初計画の通り、H28年度後期に着手したゼオライト膜の形成に加え、ハイドロキシアパタイト膜の形成とその複合化に取り組んでいく。また、その膜の評価として、セシウム、ストロンチウムの吸着能の評価を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
当初計画で予定していたゼオライト膜形成において、パターン形成を行うためのマスクパターンの作製に着手することが出来なかったため、一部、計画に遅れが生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画が遅れたマスクパターン形成については、次年度に着手することとし、その費用については次年度早々に計上していく予定である。
|