2015 Fiscal Year Research-status Report
水熱酸化法をベースとする複合プロセスによる有機ハロゲン汚染水の高度処理技術の開発
Project/Area Number |
15K00585
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
米谷 紀嗣 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80295683)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 廃棄物処理 / 触媒・化学プロセス / 水質浄化 / 水熱酸化法 / キャビテーション法 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェントン法と水熱酸化法の複合プロセスについて検討するため、従来から活性が認めらえているCuのほかにV、Mn、Ni、Coの塩化物を触媒に用いて3,4-ジクロロフェノール(DCP)の水熱酸化分解を行った。その結果、酸性条件ではいずれの触媒も分解促進効果を示すが、中性~アルカリ性ではVのみが有意な活性をもつことを明らかにした。 次に、キャビテーション分解法と水熱酸化法の複合プロセスについて検討するため、内部にベンチュリ型ノズルを有するチタン製管型水熱酸化反応装置を2台(ノズル径50μmおよび100μm)を製作した。この装置を用いて反応器内に流体力学的キャビテーションを発生させ、DCPの水熱酸化分解を行った。 実験は以下の手順で実施した。HPLCポンプを用い試料溶液(1 mM DCP、12 mM 過酸化水素)を流量8.0 ml/minで連続的に反応器へ送液した。反応器を目的温度(200℃)に達した塩浴に浸して反応温度を制御した。反応後の溶液を冷却系を通して冷却し、ノズル下流部の圧力を背圧弁で制御した。ノズル上流部および下流部の圧力をひずみゲージ圧力計により計測した。高速液体クロマトグラフと全有機炭素計(TOC)を用い、背圧弁出口から採取した試料溶液に残存するDCPおよび分解生成物の定量分析を行った。 キャビテーションによる効果を判断するため、ノズル下流部の圧力を変えて処理を行ったところ、P=2 MPa前後においてDCP分解率とTOC分解率の向上が確認された。キャビテーション数(σ)を計算したところ、分解の向上が確認されたのはσ<1の圧力範囲と対応していたことから、キャビテーションの発生によりラジカルの生成量が増大し、DCPの分解が促進されたと結論付けた。現在、キャビテーション数と分解促進効果の関係についてさらなる検討を行うため。試料溶液の流量、ノズル径、反応温度などを変えながら処理試験を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は(1)水熱酸化+フェントン法、(2)水熱酸化+UV法、(3)水熱酸化+キャビテーション法の複合プロセスについて検討する計画であった。今回、(1)と(3)について反応装置の作製とDCP処理実験を終了し、特に(3)においてDCPの水熱酸化分解がキャビテーション発生によって促進されることを突き止めた。(2)についても現在反応装置の開発を進めているところであり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果により、水熱酸化法とキャビテーション分解法の複合プロセスが汚染物質の分解に有用であることが明らかになったので、今後はこのプロセスを基本にして研究を進める予定である。フェントン型触媒の添加による分解促進効果、キャビテーション発生の最適条件の探索(ノズル上流、下流圧力、温度など)、pHの影響などについて検討を進める。さらに、水熱酸化法+キャビテーション分解法+UV法といった、3種複合プロセスについても検討を進める予定である。
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Research Products
(10 results)