2015 Fiscal Year Research-status Report
小型原子発光検出デバイスを用いた燃料油中含酸素成分の迅速簡易測定システムの創製
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15K00587
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中釜 達朗 日本大学, 生産工学部, 教授 (50244421)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロリアクター / 熱分解 / ガスクロマトグラフィー / 含酸素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、含酸素化合物を分解して同一の化学種に変換するマイクロリアクターを新たに開発し、酸素検出用AEDデバイスと組み合わせた測定システムを構築し、バイオ燃料の含酸素率および構成成分の迅速な測定に適用することを目的とする。 当該年度は、白金キャピラリーを分解反応管として用いたマイクロリアクターを試作した。リアクターは、カートリッジヒーター(直径6.25mm、長さ38.1mm、最高使用温度870℃)に白金キャピラリー(内径0.3mm、長さ50cm)をコイル状に設置することにより構成した。近傍に熱電対を設置して保温用アルミカバーで覆った後、全体をセラミック製カバーで覆う構造とした。未分解物および不完全な分解物の量的変化を追跡するため、試作したリアクターを水素炎イオン化検出器(FID)を備えたガスクロマトグラフの試料導入部とカラムとの間に設置した。 まず、このリアクターを用いて熱分解のみによる分解特性を検討した。キャリヤーガスにヘリウム、モデル試料としてメタノールをそれぞれ用いた場合、リアクターでの滞在時間2.5秒、加熱温度500℃でピークが完全に消失した。一酸化炭素あるいは二酸化炭素に熱分解したものと考えられる。別の含酸素化合物であるメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を試料とした場合、滞在時間3.3秒、加熱温度930℃で分解物を含むすべてのピークが消失した。一方、炭化水素であるメタンは滞在時間3.3秒、加熱温度900℃でピークが消失した。以上の結果から、試作したリアクターは反応ガスを添加せずに含酸素有機化合物および炭化水素が分解できる可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は追加採択されたために当該年度は数種類の化合物の分解特性しか検討できず、進捗はやや遅れている。しかしながら、当初、水素を添加した還元加熱分解を想定していたにも関わらず、当該年度の結果により反応ガスを添加せずに対象化合物を分解できる可能性を示唆した。本研究で使用する酸素検出用AEDデバイスはヘリウムプラズマを使用しているため、ガスを添加しないで分解できることは検出感度に影響を及ぼさず、かつより少ない検討項目で当初の目的を達成できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、検討対象化合物をエタノール、エチルtert-ブチルエーテル(ETBE)、脂肪族メチルエステル(FAME)あるいはガソリンの主成分である炭化水素類まで広げて試作したリアクターにおける分解特性をそれぞれ検討する。満足する分解効率が得られなかった場合には、白金キャピラリーの延長などで対応できるか検討する。さらに、試作したリアクターと酸素検出用AEDデバイスとを組み合わせた測定システムを構築し、酸素の検出特性について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本課題は追加採択されたために、研究遂行および予算執行期間が当初の予定より短かったために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額がすべて物品費として使用する予定である。
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