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2015 Fiscal Year Research-status Report

造礁サンゴの抗酸化能向上による白化耐性の評価

Research Project

Project/Area Number 15K00594
Research InstitutionUniversity of the Ryukyus

Principal Investigator

藤村 弘行  琉球大学, 理学部, 准教授 (20398308)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords造礁サンゴ / 共生藻 / 白化現象 / 抗酸化酵素 / 微量金属元素 / スーパーオキシドディスムターゼ
Outline of Annual Research Achievements

サンゴの白化現象は共生藻の光合成色素が欠失しサンゴ体内から失われる現象であり、高水温や低塩分、強光などの異常な環境によって引き起こされる。サンゴは共生藻の光合成産物をエネルギー源として利用しているため、白化が数週間以上続くと、サンゴ自身も死滅する。サンゴの白化現象は1980年代から頻繁に世界中のサンゴ礁で確認されるようになり、サンゴ礁生態系の衰退が懸念されている。
白化現象のメカニズムは、高水温で共生藻の光合成電子伝達系から活性酸素種(ROS)が発生することで生じる。通常は抗酸化酵素によって無毒化されるが、白化の際は対処しきれないほどのROSが生成していると考えられている。このため、本研究課題では、造礁サンゴに抗酸化酵素の補因子である微量金属元素を濃集させ、酵素活性を向上および白化を軽減・阻止させることができるかどうか評価することを目的とする。
今年度は微量金属元素をサンゴに濃集させる実験を行った。銅、亜鉛およびマンガンの塩化物をそれぞれ100pptから10ppmの範囲となるように海水に添加し、この海水中でエダコモンサンゴを培養した。サンゴの成長指標である石灰化量と共生藻の光合成量を測定した結果、これらの代謝量に影響を及ぼさない微量金属元素濃度は銅が1ppb、亜鉛およびマンガンが0.1ppmであることが明らかとなった。このとき、サンゴに濃集されたマンガンは対照区の2.3倍であった。銅や亜鉛は同様に高い濃集を示したものあったが、有意な結果を得ることはできなかった。これらの結果は、銅や亜鉛よりもマンガンがサンゴに濃集しやすいことを示しており、抗酸化酵素活性により大きく影響を与える可能性のある元素であることを示唆している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

主な理由はサンゴに濃集された微量金属元素の測定方法の検討に時間を要したためである。サンゴは腔腸を通して、身体中に多くの海水を含んでいる。そのため、実験で海水中に添加した無機の金属イオンとサンゴ組織に結合している金属をいかにして分離するか、ということに多くの時間を費やしたことがやや遅れている原因である。現在は透析膜を用いて分子量の大きいタンパク質と結合している金属だけを分離する方法を確立したため、この方法を使って今後は研究を加速させる予定である。

Strategy for Future Research Activity

抗酸化酵素活性定量法の確立
スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)はサンゴの共生藻から生じる初期の活性酸素種を消去する抗酸化酵素である。その活性中心にはCu、Zn、Mn、そしてFeが使われており、Cu・Zn-SOD、Mn-SOD、Fe-SODの3種類のSODが存在する。これらを分別的に定量する方法として、Cu・Zn-SODはシアン化物イオンによって失活させることができるため、全SOD量から失活後のSOD量を差し引くことによって定量することができる。しかし、Mn-やFe-SOD定量に関する文献は乏しく、定量方法を確立する必要がある。古い文献ではドデシル硫酸ナトリウムやアジ化ナトリウムによってMn-SODを失活させることができるようであるが、サンゴ試料を用いての方法ではないため、まずはこれらを参考にしてサンゴ試料に適用できるように試みる。サンゴ組織にはMnが多く濃集することがH27年度の研究結果より明らかになっていることから、Mn-SODの定量方法の確立を優先的に進める。また、共生藻にはFeが多く含まれることがわかっているので、Fe-SODが白化の初期に活性酸素種を除去している可能性が高い。したがってこれらのSODを定量する方法を確立する。これらの方法が確立されたのち、MnやFeを濃集させたサンゴを用いて、高水温下での白化耐性の評価を行う計画である。

Causes of Carryover

当該年度に購入予定であったセルカウンターについて、メーカーからデモ機を借用してサンゴ試料で試してみたところ、正しく計測できないことが判明した。このため購入を中止した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

セルカウンターがなくても、時間と労力はかかるが従来法による顕微鏡下での計数でデータは取得できているので研究上の問題はない。また、H27年度の成果を国際学会で発表できることが決まったため、そのための旅費として使用する計画である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2016 Other

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (2 results)

  • [Presentation] Seasonal variation of the antioxidant enzyme activity in the hermatypic corals2016

    • Author(s)
      Ako Miyazato, Hiroyuki Fujimura, Shohei Nakamura, Tomihiko Higuchi and Sylvain Agostini
    • Organizer
      13th International Coral Reef Symposium
    • Place of Presentation
      米国ハワイ州ホノルル市 ハワイコンベンションセンター
    • Year and Date
      2016-06-19 – 2016-06-24
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 琉球大学理学部海洋自然科学科 化学系研究室紹介

    • URL

      http://chem.sci.u-ryukyu.ac.jp/?p=56

  • [Remarks] 琉球大学研究者データベース

    • URL

      http://kenkyushadb.lab.u-ryukyu.ac.jp/profile/ja.ekxDvegIckT1sveH.8s9zA==.html

URL: 

Published: 2017-01-06  

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