2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00598
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
菅原 勝康 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60154457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 貴宏 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50333919)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 炭素 / 塩素化 / 金 / 二次資源 / 廃電子基板 / 焼却灰 / 貴金属 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の金の産出地においてアマルガム法による金回収で流出する水銀が、環境や健康上の観点から大きな問題となっている。また国内では、廃電子基板等の金を含む多量の二次資源の利用が課題となっている。本研究では、塩化揮発反応と炭素による捕捉還元反応を用いた乾式法により、鉱石や二次資源から低エネルギーかつ簡単な行程で、貴金属を選択的に分離回収し得るプロセスを開発することを目的とした。本年度は、下水汚泥灰を試料とし塩素ガス雰囲気中100℃から1000℃の温度範囲で金の揮発挙動を追跡した。 試料中の金の全量を揮発させるためには1000℃まで加熱する必要があったが、試料に炭素を添加すると金の揮発温度が低下し、700℃までに全量揮発することが分かった。さらに加熱時の金の分配挙動を調べたところ、温度やガス雰囲気に応じて、揮発した金の一部は気相へ、そして一部は炭素粒子へ移行することが分かった。そこで金の揮発反応と炭素による金の捕捉の競合反応を制御する目的で、窒素ガス雰囲気で800℃に昇温した後、塩素ガスに切り替えて反応を行わせたところ、試料中の全量を炭素に移行させることが出来た。炭素粒子を灰化することにより炭素に捕捉された元素を分析したところ、金の他に銅、鉄、亜鉛、カリウムが捕捉されていることが分かった。全元素の中、46%を金が占めており、他元素に比べ選択的に金が捕捉されていることが明らかとなった。 比表面積の異なる炭素を用いて金の捕捉挙動を調べたところ、金の捕捉率に及ぼす炭素の種類や比表面積の影響は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
炭素を用いた塩化揮発法により金を全量回収可能な反応条件を決定出来た。また同時に揮発する元素の中でも銅、鉄、亜鉛ならびにカリウムのみが炭素により捕捉されるが、圧倒的に金が炭素により捕捉されていることが明らかとなり、金の選択的回収プロセス実現のための基礎データが得られた。また金の捕捉に及ぼす炭素物性の影響も明らかとなり、当初の実験計画より前倒しで研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
金とともに銀を回収するための最適な反応条件を決定する。他の揮発性ベースメタルについても塩化揮発挙動を明らかにし、各種元素の炭素への分配挙動を決定する因子を明らかにする。各種元素の揮発ならびに捕捉反応の速度解析を行うとともに、貴金属を選択的に分離回収し得る反応装置を提案する。
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Research Products
(4 results)