2017 Fiscal Year Research-status Report
超臨界水処理及びバイオリーチングを用いた廃電子基板からの有用金属回収新技術の開発
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15K00604
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
梁 瑞録 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (10315624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 直幸 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (20285191)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リサイクル / 超臨界水処理 / 廃電子基板 / 溶媒抽出 / バイオリーチング |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 超臨界水で処理した廃電子基板の粉砕・選別:ロードミルおよび乳鉢などの装置で粉砕を行った。ガラス繊維のみの試料の粉砕効果とロードミルの回転数、ロードの直径および本数の関係を調べた。また、超臨界水で処理した試料の単体分離度、ふるい分けで分離した尾鉱の金属品位とロードミルの回転数などの因子との関係を検討した。 2)選別で得られた精鉱を選択的浸出した残渣には、金などの貴金属や低品位のレアメタルがさらに濃縮された。金など貴金属を含む浸出残渣をさらに化学浸出法で浸出し、溶媒抽出法で浸出液から貴金属の回収を検討している。まず基礎研究として混合抽出剤を用いてモデル浸出液から金の抽出率と選択性の向上に対する協同効果を検討した。単体Auモデル浸出液に対し、PC-88AとMIBKの混合抽出剤のAuの抽出率がPC-88AとMIBKのそれぞれの単独使用の場合の抽出率の合計の2倍以上となり、協同効果があることが分かった。また、Au、Pd混合モデル浸出液におけるPC-88AとMIBKの混合抽出剤の抽出では、Auに対する2倍以上の協同効果があったと同時に、Pdの抽出率を六分の一に低下することができた。PC-88AとMIBKの混合抽出剤を用いることで、Auの混合モデル浸出液から高い回収率と高い選択性のAuの回収ができた。 3) 単離株を用いた選別精鉱のバイオリーチング:超臨界水で処理・選別した金属精鉱(<0.5mmおよび<0.25mm)に対して、それぞれ①硫酸培地でのバイオリーチング、②塩酸含有培地で微生物なし、③塩酸含有培地で微生物ありの3つの条件で試験を行った。塩酸培地を用いると塩化物イオンによる化学的な浸出効果に加えて、微生物作用によって、高い浸出率を得ることができた。超臨界水処理した精鉱を0.5mm以下に粉砕すれば、塩酸含有培地での微生物作用による効果も認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界水・亜臨界水による廃電子基板の処理では、引き続き反応容器内の温度・圧力、水の量、基板の位置などと樹脂類の溶解率を検討し、処理した試料の非金属物であるガラス繊維の脆さと温度・圧力の関係を検討した。浸出液から貴金属の溶媒抽出では、混合抽出剤によって金の抽出率と選択性が向上され、混合抽出剤の協同効果を明らかにした。超臨界水で処理した試料の粉砕では、ロードミルや数種類の乳鉢で、乾式/湿式粉砕を検討し、粉砕方法および粉砕条件による単体分離度およびふるい分けの分離効果への影響を検討した。しかし、超臨界水で処理した試料から強い臭いが発生しており、また大量の粉砕原料の作成および粉砕実験には時間がかかる。局部換気のよい実験室は本研究の長期間使用はできないため、粉砕方法の研究は遅れており、新しい粉砕機の試作には至っていなかった。メイン実験室に局部排気装置を導入したので、今後の粉砕研究の加速が期待できる。酸化された金属板へのバイオリーチングの適用では、超臨界水で処理・選別で得られた金属精鉱をさらに粉砕した試料(<0.5mmおよび<0.25mm)に対して、①硫酸培地でのバイオリーチング、②塩酸含有培地で微生物なし、③塩酸含有培地で微生物ありの3つの条件で検討し、バイオリーチングの効果が良く出ていたことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
H27-H29年度の成果をふまえ、引き続き超臨界水・亜臨界水で処理した廃電子基板の粉砕実験を行い、粉砕方法を決定し、粉砕機を試作する。また、試作した粉砕機で超臨界水処理した試料の粉砕効果を評価する。 また、溶媒抽出法で浸出液から貴金属およびレアメタルを分離精製する。 以上の研究結果から、各段階の最適条件で廃電子基板から有価金属の回収を検討し、廃電子基板などから有用金属回収システムを提案する。
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Causes of Carryover |
(理由)超臨界水で処理した試料から強い臭いが発生しており、また大量の粉砕原料の作成および粉砕実験には時間がかかる。局部換気のよい実験室は本研究の長期間使用はできないので、粉砕方法の研究は遅れている。そのため、粉砕実験に関する消耗品費や粉砕機の試作費用が支出されなかったことにより助成金が余剰となり次年度に繰り越すこととなった。
(使用計画)主に粉砕実験関連費用(粉砕実験の消耗品費、粉砕機の試作関連など)として使用する予定である。
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