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2015 Fiscal Year Research-status Report

メディエータ型電極還元反応を利用したカルコゲンレアメタル回収プロセスの構築

Research Project

Project/Area Number 15K00606
Research InstitutionShibaura Institute of Technology

Principal Investigator

今林 慎一郎  芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50251757)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords廃棄物再資源化 / カルコゲンレアメタル回収 / メディエータ型電極還元 / カルコゲンオキサニオン除去
Outline of Annual Research Achievements

本研究はカルコゲンのレアメタルであるセレンおよびテルルの供給方法として、工業排液に含まれる水溶性のオキサニオンを水に難溶な元素態セレンあるいはテルルへ電解還元する新規プロセスの構築を目的とする。
本年度は、中性pH域でセレンオキサニオンを元素態セレンに効率よく還元、回収できることを実証したメディエータ型電極還元反応を実用的なセレン回収方法に発展させるために、ビオロゲンメディエータの炭素電極への固定化、繰り返し使用可能な緩衝剤代替物質の探索を検討した。前者は、電気化学酸化でC-N結合を形成して炭素電極に修飾したp-アミノ安息香酸のCOOH基にアミド結合を介して0.3 nmol cm-2程度のビオロゲン誘導体を固定化できた。カーボンフェルトなどの多孔炭素電極へ固定化してセレン回収・除去を検討することで、排液毎のメディエータ添加が不要な方法へ発展させる。後者は、COOH基を有する陽イオン交換樹脂がプロトン(H+)供給可能な緩衝剤として使用でき、リン酸緩衝液中と同程度に亜セレン酸還元を促進できることがわかった。また、N+位の官能基がプロピル、カルボキシエチルあるいはアミノエチル(AEV)であるビオロゲンを合成し、メディエータとして亜セレン酸還元促進能を評価した。ビオロゲン自体の酸化還元特性は大差ないが、AEVはオキサニオンへの電子移動と同時に-NH3+基からH+供給できる可能性が得られた。亜セレン酸還元反応は官能基により変化し、律速段階が異なることが示唆された。AEVは亜セレン酸10 mmol dm-3以上で高い亜セレン酸還元促進能を示した。
ビオロゲンをメディエータとする電極還元反応がテルルオキサニオンから元素態テルルへの還元も促進できるかを検討したが、中性pH域でも亜テルル酸は亜セレン酸よりも還元されやすいためか、還元促進効果は観られなかった。また、テルル酸還元も促進しなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(課題1)実用性の高いセレンオキシアニオンのメディエータ型電極還元反応系の構築
メディエータ型電極還元反応の実用性を向上させるために、①~③を検討している: ①メディエータを電極表面に固定化することで排液毎のメディエータ添加を不要にする、②緩衝剤を繰返し使用できる代替物質に変える、③セレンオキサニオンの電解還元効率の高いメディエータを探索する。①について、電気化学酸化でC-N結合を形成して炭素電極に修飾したp-アミノ安息香酸のCOOH基にアミド結合を介してビオロゲン誘導体を3 nmol cm-2程度(サブモノレーヤー)固定化する方法を確立した。②について、COOH基を有する陽イオン交換樹脂が緩衝剤の替わりに使用でき、リン酸緩衝液中と同程度に亜セレン酸の還元を促進し、繰り返し使用できることを実証した。陽イオン交換樹脂のみでは電解液の導電性が不足するが、排液中に含まれる陽イオン(Na+, K+)で補えると考えている。③はN+位の官能基を変えたビオロゲンを合成し、メディエータとしての亜セレン酸還元促進能を評価した。アミノエチルを官能基とするビオロゲンは式量電位のpH依存性からオキサニオンへの電子移動と同時に-NH3+基からH+供給できる可能性が得られ、亜セレン酸10 mmol cm-2以上で現在使用しているメチルビオロゲン(MV)と同等以上の還元促進能を示すことがわかった。
(課題3)メディエータ型電極還元反応系によるテルル回収の可能性の検討と課題抽出
中性pH域において亜テルル酸は亜セレン酸よりも還元されやすく、MVを添加しなくてもより貴な電位で元素態テルルへの還元が起こる。このため、MVメディエータを添加することによる還元促進効果は観られなかった。テルル酸還元についてもメディエータ型電極還元による還元促進効果は観測されなかった。

Strategy for Future Research Activity

(課題1) ①確立した手法を使用して、カーボンフェルトなどの多孔炭素電極へビオロゲン誘導体を固定化し、亜セレン酸電解還元の電流効率、セレンオキサニオンの除去率および元素態セレンの回収率を評価する。このとき、炭素電極の素材、空孔率、空孔径、ビオロゲン誘導体の固定化密度などを変えて、反応効率の高い実用的な電極反応系の構築を目指す。②COOH基およびそれ以外の表面官能基を有する陽イオン交換樹脂やシリカビーズについて、緩衝作用およびプロトン(H+)供給の点から、緩衝剤の代替物質として使用できるかを検討する。③低濃度の亜セレン酸還元に対して、MVよりもメディエータ能が高いビオロゲン誘導体を引き続き探索する。2015年度に見出したAEVについては、亜セレン酸電解還元の電流効率、亜セレン酸の除去率、元素態セレンの回収率を測定する。なお、電解還元で得られる元素態セレンについて、形態および同素体を観測し、電極反応条件との関係を検討する。
(課題2)メディエータ型電極還元反応によるセレン酸からの元素態セレン回収の高効率化
亜セレン酸と比べてセレン酸還元の速度が遅い理由を電気化学的に解析する。また、光触媒(TiO2など)の併用によって、中性pH域でも効率よくセレン酸が還元される反応系を構築できるか検討する。
(課題3) テルルオキサニオンから元素態テルルへの電極還元に有効なメディエータを探索する。有効なメディエータが得られた場合は、電極還元反応機構について解析し、電極還元反応の最適条件を明らかにする。

Causes of Carryover

インピーダンス測定が可能なポテンショスタット数が不足すると予想して予算計上したが、現有の装置で間に合ったため、既保有のポテンショスタットのバージョンアップを行わなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

2016年度は上記「課題2」の検討も始まるため、既保有のポテンショスタットのバージョンアップあるいは新規ポテンショスタットの購入に充てる。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 2015

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] 亜セレン酸電極還元の促進効果に対するビオロゲン化合物の官能基の影響2016

    • Author(s)
      村上大昌, 今林慎一郎
    • Organizer
      電気化学会第83回大会
    • Place of Presentation
      大阪大学
    • Year and Date
      2016-03-29
  • [Presentation] メディエーターを介するセレンオキサニオン電極還元反応に基づくセレンの除去・回収方法2016

    • Author(s)
      越雲 文也, 赤塚 秀太, 村上 大昌, 今林 慎一郎
    • Organizer
      第50回日本水環境学会年会
    • Place of Presentation
      アスティとくしま
    • Year and Date
      2016-03-18
  • [Presentation] 亜セレン酸の電極還元促進に対するビオロゲンメディエーター構造の影響2015

    • Author(s)
      村上大昌, 今林慎一郎
    • Organizer
      第61回ポーラログラフィーおよび電気分析化学討論会
    • Place of Presentation
      イーグレひめじ
    • Year and Date
      2015-11-24
  • [Presentation] メディエーター型亜セレン酸還元反応に対するメディエーター構造の影響2015

    • Author(s)
      今林慎一郎, 村上大昌, 越雲文也
    • Organizer
      2015年電気化学秋季大会
    • Place of Presentation
      埼玉工業大学
    • Year and Date
      2015-09-11

URL: 

Published: 2017-01-06  

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