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2016 Fiscal Year Research-status Report

究極のエコ型施肥装置のためのアンモニア生成触媒の基礎研究

Research Project

Project/Area Number 15K00608
Research InstitutionSendai National College of Technology

Principal Investigator

遠藤 智明  仙台高等専門学校, 専攻科, 教授 (60369915)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsバイキャップ型包接錯体 / フラーレン / シクロデキストリン / ボールミル / アンモニア
Outline of Annual Research Achievements

1. これまでフラーレン(C60)をγ-シクロデキストリン(γ-CD)に包接する方法は、トルエン-水系の混合溶媒を用いる溶媒法、高速振動ボールミルを用いる機械的方法の二つの手法のみが知られていた。溶液法では、一週間以上高温で加熱する必要があり、高速振動ボールミルでは、一度に大量に錯体を合成できないという、それぞれの欠点があった。我々はこの問題の解決策として、傾斜型遊星ボールミルを用いて合成を試みたが、大量の包接錯体を得ることはできなかった。そこで、ナガオシステムが新規に開発した3次元ボールミルを用いたところ、短時間で大量の(γ-CD)2・C60包接錯体を容易に得ることが可能になった。これにより、これまでは行いたくてもできなかった(γ-CD)2・C60包接錯体の様々な範囲にわたる触媒機能の探索が可能になった。今回用いた3次元ボールミルは各種の化学反応にも有効なことを見出しており、新たなグリーン・ケミストリーとして展開できる。
2. これまで1,3-ジオンの誘導体とフラーレンを用いたビンゲル反応では、フラーレンにシクロプロパン環が容易に形成されることから、様々な化合物が合成され、様々な物性の測定が行われてきた。今回、我々が開発した新規な反応方法では、フラーレンに4員環の形成が行える。特異な4員環の形成により、C60誘導体の新たな電子受容体としての展開が見込めるため、詳細な構造確認を行っている。4員環の新規な合成法を見出したことにより、今後反応の適用範囲を拡張できる。
3. 本研究の最終目的であるアンモニアの生成に関しては、アンモニアを効率よく生成させ、アンモニアを反応系外に取り出して利用するアンモニア・リアクターの開発を継続している。この装置についての検討を行い、(γ-CD)2・C60を触媒として保持するために、半透膜を利用することが効果的であることを見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究実績の概要に示したように、高いレベルの研究成果が出始めるとともに、新たな方向性に発展できる研究シーズも見出された。特に我々が今回見出したフラーレンとγ-シクロデキストリンのバイキャップ型包接錯体の合成に3次元ボールミルを用いる方法は、高効率に多量の包接錯体を合成できることと、低温での処理が行えることに特徴がある。この方法を用いた包接錯体の合成方法について、特許出願の準備を進めている。(γ-CD)2・C60の大量合成が可能となったことにより、これまで知られていない水中での高次π共役を用いた触媒機能の探索が可能となった。また、今回の方法は、我々の開発してきた一連の1,3-ジオン誘導体の付加したフラーレンとγ-シクロデキストリンとの反応にも応用でき、現在もそれらの包接錯体の生成について検討している。一方、3次元ボールミルは、グリーンケミストリでの合成方法としても有用であると考えられ、無溶媒反応という観点からの合成検討でも興味ある結果が出てきた。
アンモニアの合成に関しては、(γ-CD)2・C60のバイキャップ錯体の合成に時間を費やしたことにより、実験回数を増やすことができなかったが、今回の大量合成方法の発見で実験回数を増やすことが可能になった。こまでは小スケールでの実験だったため、アンモニアの生成確認が難しかったが、今後の方法を開発したことによりスケールアップが容易になるため、アンモニア・リアクターの改造にも注力していく。

Strategy for Future Research Activity

2年間の研究中に、3次元ボールミルを用いたγ-シクロデキストリンとフラーレンの効率の良い包接錯体の合成方法を見出すことができた。また、この3次元ボールミルを用いる方法は、ボールの効果的な衝突のみをエネルギーとし、熱の発生が少ないことに特徴がある。
この方法を用いてフラーレン誘導体とγ-シクロデキストリンからなる様々なバイキャップ型の包接錯体を合成し、そのアンモニア合成触媒としての性能を検討する。
また3次元ボールミルの有機合成における有効性も見出したので、次の新たなグリーンケミストリーに繋がるよう、その方向性も探っていく。

Causes of Carryover

実験は順調に進行し、3次元ボールミルを用いる研究の糸口がみつかった。そのため3次元ボールミルの使用方法に関する検討が中心となったため、新規な試薬、設備の購入には、経費をかけなかったため残額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

3次元ボールミルの使用方法を有効に活用し、さらなる成果を上げるため、昨年度に使用しなかった分を、研究の進行状況に合わせて、適宜実験試薬、実験器具の購入に充てる。また、一部をγ-シクロデキストリンとフラーレンの包接錯体の3次元ボールミルを用いた合成方法の特許出願費用に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] 地域創生、産学連携にも必要なケモメトリクス2016

    • Author(s)
      遠藤智明、速水健一
    • Journal Title

      CICSJ Bulletin

      Volume: 34 Pages: 85,88

    • DOI

      http://doi.org/10.11546/cicsj.34.85

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2018-01-16  

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