2017 Fiscal Year Research-status Report
東京湾奥部における放射性物質の実態およびその長期的予測に関する研究
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15K00615
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大塚 文和 日本大学, 理工学部, 教授 (60513984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川西 利昌 日本大学, 理工学部, 名誉教授 (60060034)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 放射性物質 / 放射性セシウム / 親水海浜 / 放射線量 / 放射線量分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「東京湾奥部に位置する一級河川・真間川河口前面海域における放射性物質濃度分布」、「親水海浜(葛西臨海公園西なぎさ及び三番瀬海浜)における放射線量分布」、「江戸川、荒川から東京湾に流入する放射性物質量の推定」、「放射性物質の拡散モデルの検討」および「過去に激しく放射能に汚染された地域の現地踏査」を行った。 東京湾奥部に位置する真間川河口前面海域において、不攪乱性柱状採泥器(HR型採泥器)を用いて底質の柱状採泥を実施した。その結果を基に、同海域における放射性物質濃度の鉛直分布を把握した。真間川河口前面海域では、福島第一原発事故に関わる放射性物質は海底面下数十センチまで侵入しており、一千Bq/kgを超える濃度層も確認されるなど特徴的な状況が確認された。 葛西臨海公園西なぎさおよび三番瀬においては、大潮期付近の干潮時に放射線量を計測した。計測した期間は、2017年5月~11月間で、おおよそ2回/月程度の頻度で実施した。計測は、それぞれの海浜において約30~40地点で実施した。線量計は、PA1100(HORIBA)を用い、干出改定面から約5cmの高さで計測した。計測データは、これまでの計測結果と合わせて、各海浜における放射線量の沿岸方向および岸沖方向の変化、平面分布並びに経年変化について解析した。 放射性物質の拡散モデルの検討では、これまでの成果を踏まえて、東京湾に流入する放射性物質の拡散モデル、特に河口前面海域における放射性物質の存在状況を踏まえ、モデルの検討を行った。 また、東京湾奥部の親水海浜における安全・安心のための対策検討の参考になることを目標に、過去に激しい放射能汚染があったマーシャル諸島及びその近隣のキリバス諸島等を対象に現地踏査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親水海浜(葛西臨海公園西なぎさ海浜及び船橋三番瀬臨海公園三番瀬海浜)における放射線量の調査は計画通りの実施状況である。また、江戸川及び荒川から東京湾に流入する放射性物質量の推定についても、計画通りに実施できており、流入量モデルについてもモデル関数形を設定してほぼ計画通りに構築出来ていると考えている。放射性物質の拡散モデルの構築試行については、現地調査結果を踏まえてモデルの検討を行ったが、まだ数理モデルおよびそのプログラムの構築には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度であり、「親水海浜(葛西臨海公園西なぎさ及び三番瀬海浜)における放射線量調査」、「調査結果である親水海浜の放射線量および海底質中における放射性物質濃度のGISデータベース化」、「東京湾奥部における放射性物質の拡散モデルの構築」および「東京湾奥部親水海浜における放射性物質濃度の変動予測の試行」を実施することを計画している。また、予測結果を踏まえて必要により親水海浜における安全・安心に関わる対策の検討を考えている。 親水海浜(葛西臨海公園西なぎさ及び三番瀬海浜)における放射線量調査については、継続した調査であるが三番瀬の背後に流入している真間川の河口前面海域に放射性物質濃度の高い底質が存在することが確認出来たことより、その侵入の可能性も考えられることから継続して注意深く計測したいと考えている。 調査結果である親水海浜の放射線量および海底質中の放射性物質濃度のGISデータベース化については、本研究における調査結果だけでなく他機関による調査結果についても対象とし、東京湾奥部における放射線量及び放射性物質濃度について福島第一原子力発電所事故からの変化を把握したいと考えている。 東京湾奥部における放射性物質の拡散モデルの構築については、前年次に検討した拡散モデルを予測に利用できる状況に構築するとともに、先に構築した江戸川及び荒川等から東京湾への放射性物質の流入量モデルを用いて河川からの流入量を考慮して、東京湾奥部を主な対象に放射性物質濃度の変動予測を試行したいと考えている。また、予測結果を踏まえて、必要により親水海浜を主な対象として安全・安心に関わる対策の検討を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
前々年度のワークステーション予算と旅費の残額を合わせて、今年度の現地踏査のための旅費に当てたため、残額は2万円程度となった。残額については、次年度の物品費に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)