2016 Fiscal Year Research-status Report
生物多様性オフセットにおける同等性、代替性評価に関する研究
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15K00622
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 希一郎 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (80432219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生態系サービス / 生物多様性オフセット / 生物多様性 / 文化サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
文化的な要素も含む都市森林の有する多様な生物多様性・生態系サービス(BD/ES)の供給ポテンシャルを把握するために、名古屋市の森林を対象とした簡易現地調査等による基礎データ収集を行う。これにより、多様なBD/ESの総合評価手法の検討を通じて、生物多様性オフセットの事例研究を行うことを目的としている。 研究全体の内容は、名古屋市内の森林のBD/ESに関する簡易現地調査、BD/ES総合評価手法の検討、それらのデータを用いた森林カテゴリー化や同等性・代替性の評価手法の検討を行うことである。 平成28年度は、前年度に引き続き、名古屋市内の森林に関する簡易現地調査やGISデータによる基礎データ整理を行った。現地調査は、名古屋市緑政土木局提供の名古屋市緑被GISデータを用いて抽出した1ha以上の森林のうち許可が得られた約200か所で実施した。平成28年度末時点で、概ね9割以上の対象森林の調査が終了した。なお、引き続き、追加調査、補足調査を平行して実施している。 得られたデータは、主として生態系サービスの供給ポテンシャルに関するデータであり、これらをもとにBD/ES大分類(供給サービス、調整サービス、文化サービス、基盤サービス)、および各小分類に関する基礎データの整理を行った。また、平成28年度は、特に文化サービスに着目して、クラスター分析を用いて森林クラスター化を行った。これらの結果を活用し、文化サービスの観点からの森林の同等性・代替性評価を試みた。さらに、名古屋市内多地点のBD/ESに関するデータを用いて、名古屋および周辺地域で簡易現地調査を行っていない場所への適用を試み、過去から現在への変遷を踏まえた評価を進めている。これらの結果については、国内学会・国際会議での報告および論文(投稿中1編)として成果の公表に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に現時点では大きな問題なく進んでいる。なお、追加調査、補足調査に時間を要するため、引き続き平成29年度も現地調査を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、新しい森林への簡易現地調査は小数にとどめ、既調査森林を対象とした追加調査、補足調査を主として行うことを予定している。また、過去からの土地利用の変遷を考慮するために、過去の土地利用図等の基礎データの収集も継続的に進める予定である。これらを通じて、BD/ES評価手法の検討、森林の代替性・同等性評価手法の検討を進めることを想定している。平成28年度において、文化サービスに着目した森林評価を行っており、今年度は、それ以外のBD/ES項目を含めた総合的な分析を行う予定である。引き続き、関連研究成果は国内外の学会等を通じて発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
当初予定より国際会議旅費が節約されたため1.8万円程度繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内旅費または作業補助者人件費で活用する予定である。
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Research Products
(5 results)