2017 Fiscal Year Research-status Report
湖底の光環境は生産性を通じて生物多様性に影響するか?
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15K00623
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
石川 俊之 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (50396313)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 湖沼生態系 / 底生生物 / 光 / 沿岸帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
野外調査(1)琵琶湖北湖、日野川と野洲川の河口に水深の異なる4定点を設け、4月から11月にかけて湖底の水温、光量、水中のクロロフィル濃度、底泥表面のクロロフィル濃度、底泥の強熱減量、底泥表面のパルス蛍光測定を行った。 底泥表面のクロロフィル濃度は、補償深度より浅い3点において光量との相関がみられ、光量が藻類量を増減させるという仮説が立証されたといえる。一方、補償深度より深い1定点においては光量ではなく水中のクロロフィル濃度と底泥表面のクロロフィル濃度の間に相関がみられ、表水層からの沈降フラックスによって底泥表面の藻類量が決まることが示唆された。さらに、水温と底泥のクロロフィル濃度の間には負の相関関係がみられ、分解による影響も示唆された。 動物群集については同じ定点で採集した試料をソーティングまでを実施した。 野外調査(2)琵琶湖南湖旧草津川河口の砂地から泥地の移り変わる地点において7定点をお設け、4月から11月にかけて動物群集の調査を行った。この水域では、3種のヨコエビ類(ビワカマカ、ナリタヨコエビ、フロリダマミズヨコエビ)が採集され、ビワカマカは他の2種とほとんど分布は重複せず、砂地で沈水植物の少ない場所に出現した。一方、ナリタヨコエビ、フロリダマミズヨコエビは同所的に分布し、沈水直物の多い泥地に良く出現した。これらの結果は、水生植物の分布がヨコエビ類の分布に影響を与えていること示しており、光量が十分高い浅い水域での生物の分布が植生によって影響される好例を示すことができた。 平成29年度は学内業務との重複によってこれらの成果を学会発表機会がなかったため、30年度にこれらの成果を学会発表の上、論文の執筆を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた野外調査を実施することができ、さらに作業仮設としていた現象がデータ解析から検証することができた。次項のとおり成果発表について変更が生じたが、十分対応できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は学内業務との重複によってこれらの成果を学会発表機会がなかったため、30年度にこれらの成果を学会発表の上、論文の執筆を進めていく。
また、29年度採集した動物群集試料についての解析もすすめていく。
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Causes of Carryover |
学内業務と日程が重なったため、予定していた学会発表2件を実施することができなかったため。
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