2016 Fiscal Year Research-status Report
地下水位分布と汚濁流出機構の理解に基づくディリ市民が実施可能な水環境保全策の提案
Project/Area Number |
15K00636
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
関根 雅彦 山口大学, 創成科学研究科, 教授 (30163108)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 発展途上国 / 東ティモール / 水環境 / BOD / 大腸菌群 / 毒性 / 市民協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年9月10日~24日に乾期調査、2017年3月4日~18日に雨期調査を実施した。2015年度中に井戸調査は完了しているが、水路調査については1水路あたり複数点で水質調査を実施することの重要性が2015年度の雨期調査で明らかになったため、本年度の乾期調査では同じ複数測点にて乾期の水路水質調査を実施した。また、腐敗槽の管理状況、水使用状況、化学物質使用状況などの聞き取り調査を実施した。雨期調査では、腐敗槽に設置した水位ロガーを回収するとともに、4水路に水位ロガーを設置し、降雨による増水状況を記録した。また、魚毒性調査および流域を確定するための現地踏査を実施した。雨期の調査期間中、降雨時の流出負荷量の計測を計画していたが、採水可能な時間帯(安全に行動できる時間帯)には十分な増水が見られなかったこと、また先行降雨期間や降雨状況の違いにより同じような流量でも目視による水質の変動が大きく、少数の洪水時水質調査の代表性に疑問が感じられたことから、洪水時水質調査を断念した。一方、腐敗槽の漏水状況調査を追加実施した。漏水状況調査は水位ロガーを使用して9月から3月まで連続的に実施した。 これまでの調査結果をとりまとめ、人口分布などと照査することで、ディリではやや標高が高く地下水位の低い地域からの汚濁負荷流出はかなり小さく、ディリ中心部の低地からの汚濁負荷流出が多くを占めること、ディリ市内で一般的に用いられている腐敗槽の構造では腐敗槽による水質改善効果はきわめて限定的であることが明らかになった。この結果については3月の調査終了時に第一回現地報告会を開催し、現地教員と対策について議論した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
洪水時水質調査を断念したことにより水無川に着目した浄化機構の検討ができなくなったが、追加した腐敗槽漏水調査の成果もありディリ市の汚濁負荷流出機構と市民の生活状況の関係について考察できる見通しが立ったたため、おおむね計画どおりに研究が進行していると評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
29年度は計画通り、これまでの調査結果を詳細に解析し、地下水位で区分した地域ごとの環境保全策を立案する。28年度、既に第一回の研究報告会は開催しているが、29年度には詳細な解析と環境保全策立案の結果をもって現地にて研究報告会を開催し、政府関係者とも懇談する計画である。
|
Causes of Carryover |
3月に東ティモールにおいて雨期調査を実施しており、東ティモール国内でのレンタカー借り上げ費およびその燃料費が予定より少なく済んだために残金が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
残金は少額であり、平成29年度の東ティモールでの活動で使用する予定である。
|