2015 Fiscal Year Research-status Report
洪水に適応した都市空間構造のあり方とその効果の検討
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15K00639
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
佐尾 博志 東京都市大学, 環境学部, 特別研究員(PDⅡ) (00713702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 暁生 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (90435537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ライフサイクル評価 / 社会会計表 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は、まず、国内の洪水対策に関する政策や検討段階にある事例、そして既存研究等の動向をレビューした。さらに、海外におけるハード面・ソフト面の洪水対策にも焦点を当ててレビューした。これらのレビューから、国内外の洪水対策を把握し、それぞれの国で行われている洪水対策をまとめた。 次に、神奈川県及び三重県における社会状況を把握した。ここで対象とする社会状況は、それぞれの県内の人口や建築物に関する情報(建て方(戸建て住宅、集合住宅)、構造(木造、非木造)、延床面積、住宅の築年数等)、インフラ等である。これらの情報を各県の統計資料をもとに収集し、収集したデータは地理情報システム(GIS:Geographic Information system)を用いてデータ整備を行った。 一方、洪水対策や政策等のレビューの他に、洪水被害または洪水対策の経済的評価した研究事例もレビューした。また、神奈川県及び三重県が公表している産業連関表のうち、一番新しい2005年の産業連関表の統合小分類を用いて、経済評価モデルのインプットデータとして必要となる社会会計表を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神奈川県及び三重県における社会状況の整備は予定通り進んでいる。一方、インプットデータとなる社会会計表の作成は統合小分類では出来ているが、神奈川県及び三重県における社会状況のデータと整合を考慮すると、この分類よりも細かい基本分類にある産業部門を用いるか、用いる場合の抽出方法を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は研究分担者である大西は、将来想定される人口減少や少子高齢化等の社会状況を描写する。そして、その社会状況における構造別(木造、非木造)の建築物の耐用年数を考慮した建替えや解体等のライフサイクルのモデルを構築し、建築物の建替え場所が異なる2つのシナリオ(「BAUシナリオ」、「浸水域撤退シナリオ」)を考える。また、この2つのシナリオでの洪水被害額(直接被害額)を把握する。 一方、研究代表者である佐尾は研究分担者である大西が行う将来における労働人口の変化を経済評価モデルに反映させる。さらに、大西が算出したシナリオ別の洪水被害額(直接被害額)をもとに、間接的な被害と適応策を検討した場合の効果を推計する。
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Causes of Carryover |
本年度、購入予定であった地理情報関連のソフトウェアを来年度への購入に繰り越した。地図データについては、代替となるものを入手・整備できたため、これらを用いることとした。ただし、この使用の変更による研究進捗への影響はない。他方、来年度以降の研究で必要となる洪水による生活環境質への影響等の住民意識の調査を前倒しで行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度において、確実な研究成果をあげた。来年度は、更なる分析で必要となる地理情報関連のソフトウェアを購入する予定である。また、学会発表のための旅費や参加費、また論文等の執筆・投稿に関する費用として使用したいと考えている。
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Remarks |
環境科学会2015年会にて、ポスドクおよび博士課程学生の部において「最優秀発表賞(富士電機賞)」を受賞した。
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