2016 Fiscal Year Research-status Report
洪水に適応した都市空間構造のあり方とその効果の検討
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15K00639
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
佐尾 博志 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 特別研究員 (00713702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 暁生 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (90435537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ライフサイクル評価 / 撤退シナリオ / 応用一般均衡分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、平成27年度に情報収集した内容及び整備したデータをもとに、将来想定される人口減少や少子高齢化等の社会状況を描写した。このモデルにより、人の年齢を動的に扱い、各年齢層における死亡率を考慮しているため、将来の各時点における総人口や労働人口は基準年とは異なっている。そして、その社会状況における構造別(木造、非木造)の建築物の耐用年数を考慮した建替えや解体等のライフサイクルのモデルを構築した。ここで、建築物が耐用年数に達した場合の建替えについては、同一場所に再度建てる場合(「BAUシナリオ」)と非浸水域に移転する場合(「浸水域撤退シナリオ」)の2パターンを考えた。これにより、各時点における県内の建築物の需要量、世帯数や建物種類の構成、そして、必要となる住宅供給量が把握することが出来、各時点で住宅の需給バランスを調整することが可能となった。 上記の推計結果を用いて、2010年から2050年までの各時点の労働人口の変化分を経済評価モデルに反映させた。これにより、各時点の経済規模が変化し、それに伴い、財・サービスの中間投入や家計や政府の消費、企業や政府の投資等が経済状況に合わせて変化させた。なお、上記のモデルとは、基準年が異なっていたため、経済評価モデルに組み込む際には基準年が異なっていても、社会状況の変化率は一定であるという仮定の下、労働人口の変化率を用いることとした。これにより、各時点の経済規模を擬似的に推計することを試みた。これを「人口の自然減少シナリオ」とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究分担者である大西は、各シナリオにおける洪水被害額(直接被害額)を把握する。また、洪水リスクを軽減する居住選択や商業用務の建物配置等の対策を行った際、この新たな適応策による被害額の逓減効果を評価する。 一方、研究代表者である佐尾は、平成28年度に構築した経済評価モデルと本年度の大西が分析した洪水被害を組み込むことで、洪水氾濫による“間接的な被害”及び“適応策実施による効果”を推計する。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究進捗を進めるために研究発表に関する旅費を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は、学会発表のための旅費や参加費、また論文などの執筆・投稿に関する費用として使用したいと考えている。
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Remarks |
賞罰 1)2016年12月 第13回環境情報科学ポスターセッション,一般の部,理事長賞を受賞 2)2016年12月 エコデザイン・プロダクツ&サービスシンポジウム 2016 優秀賞を受賞
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