2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00640
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大山 秀子 立教大学, 理学部, 教授 (60356673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリ乳酸 / 加水分解 / 分解促進剤 / ポリマーブレンド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は前年度にまだデータを取りきれていなかったポリ乳酸ブレンドの多孔質体の加水分解挙動の検討を行った。(具体的には、ポリ(L乳酸)(PLLA)/ポリ(L乳酸ーアスパラ銀酸)(PAL)ブレンドとPLLA/ポリ(L乳酸ーリンゴ酸)(PML)ブレンドの多孔質体 2種)そして、アメリカ化学会年次大会で2回(Washington DC, 2017年8月),(New Orleans, 2018年3月)研究成果を発表した。最初の発表ではポリ(L乳酸)(PLLA)/ポリ(L乳酸ーアスパラ銀酸)(PAL)ブレンドとPLLA/ポリ(L乳酸ーリンゴ酸)(PML)ブレンドの多孔質体(モノリス)の加水分解挙動についての結果をまとめ、さらに2番目の発表ではPLLA/PALブレンドフィルムの加水分解挙動についてpHと塩濃度が及ぼす影響について報告した。
これらの多孔質体は熱誘起相分離法(80度で溶媒に溶けている状態のPLLAを冷却するとその過程でSpinodal分解が生じて、PLLAの多孔質体が析出)にて試料を生成しているが、その際に用いる溶媒によりモノリスの構造が大きく変わることを新たに見出した。そこで、混合溶媒を用いてどのように多孔質体の構造が変わるのか検討を始めた。
さらに、今年度は新たに国内特許1件とPCT出願1件の出願を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は当初の最終年度ということで、プロジェクトをまとめるためのデータ取りと発表を中心に行った。昨年度できていなかった多孔質体の加水分解の結果もほぼまとまった。国際学会での研究成果の発信や特許出願も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度が当初の最終年度であったが、多孔質体を熱誘起相分離法にて生成する際に、多孔質体の構造が用いる溶媒により大きく変化することを新たに見出した。今後は構造がどうしてそのように変わるのかを解明するために光散乱法にて生成過程(Spinodal分解過程)を追跡する予定である。PLLAの多孔質体はスキャフォールドなどの再生医療分野での応用が期待されており、その多孔質体の分解挙動を構造と結び付けて検討することは応用面から鑑みても必要である。平成30年度は構造の発現メカニズムに焦点を当てて検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初の3年間の研究期間で本来予定した研究のミッションをほぼ達成できたが、新たに多孔質体の生成過程で用いた溶媒によって多孔質体の構造が大きく変化するという面白い現象を見出したので、その検討も加えて研究を実施することとし、あえて研究費を使い切らずに研究期間を1年間延長することにした。
今年度は多孔質体を生成するための消耗品、光散乱測定に必要な経費、学会発表のための費用らを計上する予定である。
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