2018 Fiscal Year Annual Research Report
Water-induced Disintegrative Poly(L-lactic acid)(PLLA) Blends and Their Degradation Behavior
Project/Area Number |
15K00640
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大山 秀子 立教大学, 理学部, 教授 (60356673)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ポリ乳酸 / ブレンド / 加水分解 / フィルム / 多孔質体 |
Outline of Annual Research Achievements |
生分解性/生体吸収性/生体適合性の特色を持つポリ乳酸は医療材料への用途展開が図られてきたが、近年はその生分解性を生かしてシェールガスの採掘にも使用されるようになってきた。(頁岩層の亀裂にポリ乳酸繊維を砂に混ぜて挿入すると繊維の分解に伴いオイルやガスの通路が貫通し、採掘効率が上がる。) 本研究では、ポリ乳酸の分解速度を自在に制御する方法を確立することを目的に、2種類のポリ乳酸共重合体(ポリ(アスパラ銀酸-co-L乳酸)(PAL)とポリ(リンゴ酸-co-L乳酸)(PML))を分解促進剤として用いてポリ(L-乳酸)(PLLA)とのブレンドを作成し、その加水分解挙動を詳細に検討した。さらに分解条件(pH、塩の影響、形状ら)や1軸延伸処理がどのように物性や分解機構に影響を与えるのかについても検討した。 その結果、①pH7.4, 40oCの緩衝液に浸漬すると20wt%のPALを加えたブレンドの加水分解速度はPLLA単体の15倍、PMLとのブレンドは34倍にもなり、PALやPMLの添加量で分解速度を制御可能、②PALは大気中(25oC, 60%RH)ではPLLAの分解を促進しない、③低塩濃度(約0.05M)を含む塩基性緩衝液中では分解が著しく促進する、④同じ組成でも多孔質体の方がフィルムよりも高い分解速度を示すことらが明らかになった。平成30年度は多孔質体の生成過程で用いる溶媒により多孔質体の内部構造が大きく変わることに注目し、熱誘起相分離法による多孔質体の生成過程を光散乱法にて追跡した。その結果、液-液相分離が支配的になると多孔質体の内部構造はハチの巣状構造となるが、結晶化が促進して固-液相分離が支配的になると数珠状となることが分かった。以上、平成27年度~30年度に実施した本プロジェクトでは、ポリ乳酸の分解速度を支配する因子の検討やその制御方法を検討し、応用に必要な多くの知見を得た。
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