2016 Fiscal Year Research-status Report
多元物質フロー解析モデルの開発と随伴元素成分を考慮した鉄鋼リサイクルへの応用
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15K00641
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80313584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 愼一郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20180367)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 物質フロー解析 / 産業連関分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、とくにわが国における使用済製品(自動車、家電など)の適正処理と素材リサイクルの促進に向けて具体的な施策を提言するために、方法論の開発と実証分析を行う。具体的には、産業連関分析の理論に基づいて物質フロー解析の手法を拡張することにより、多物質・多元素を適切に同時に考慮することのできる新しい物質フロー解析手法を開発する。また、開発した解析手法を使用済製品の適正処理と素材リサイクルについての実証分析に応用し、「適正な鉄鋼スクラップの分別回収」「随伴元素・合金元素を考慮した効率的リサイクルのための産業連携」を明らかにすることを目的とする。 今年度は、(1)多数の物質、多数の元素、多数のプロセスに加えて、多数の地域と物質フロー・ストックの経年変化を考慮し得る動学的物質フロー解析のための数理モデルの構築、(2)数理モデルを応用した物質フロー解析用の産業連関表データベースの開発を、その課題抽出と並行して行った。(1)については、動学的物質フロー解析のためのMaTraceモデルを拡張し、物質ロスを評価する指標を開発して、それを全球規模の多地域表に適用し、オープンリサイクルを含む鉄鋼フロー・ストックに関する実証分析を行った成果を論文として発表した。さらに、MaTraceモデルを多数の物質、多数の元素を適切に考慮し得るモデルへと拡張して、使用済自動車を中心とする鉄鋼フロー・ストックに関して多元素を明示的に考慮した実証分析を行った。この成果の一部は、平成29年度に国際学会で発表予定である。(2)については、昨年度から引き続き、利用可能な統計データ等が減少している状況に対応した系統的手法について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題を構成する分析手法開発、データベース開発、実証分析とその結果に基づく提言のうち、分析手法開発と実証分析については、当初計画したものに加えて、関連する動学的分析を含む成果が得られている。データベース開発についても、それに必要な手法開発が順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
データベース開発については、国内外の共同研究を行うなどして、そのための手法開発とデータベースの精度向上を図る。物質フロー解析手法の開発と実証分析については、当初計画に加えて動学的分析も行う計画である。
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Causes of Carryover |
外国旅費などについて当初見込額との相違が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度と次年度の使用計画に大きな変更を必要としないと考えられるため、次年度に主として物品費と旅費に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)