2017 Fiscal Year Research-status Report
可視化と価格付けによる家庭用電力需要の制御に関する研究:離島でのフィールド実験
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15K00645
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
島田 幸司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70367986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 卓也 神戸大学, 評価室, 特命助教 (00625642) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイナミックプライシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の温室効果ガス排出削減目標(2013年比26%削減)達成に向けた再生可能エネルギー(再エネ)普及(総電力比率22~24%)と、強靭なエネルギーシステム構築に向けた電力市場改革という2つの大きな政策目標をいかに統合的に達成できるのかという問題意識のもと進めている。具体的には、再エネの供給変動を念頭に置いたダイナミックプライシングにより、インバランスリスクや電力卸売市場(JEPX)からの調達量を軽減させることができるかをフィールド実験により実証するものである。ダイナミックプライシング(太陽光発電ポテンシャルに応じた価格付け)に関する地域実証実験は兵庫県・沼島にて実施され、得られた時間単位のビッグデータを計量経済学的に解析した。 フィールド実験と解析は以下のように進めた。1)協力50世帯を実験群(28世帯)、対照群(22世帯)に分割。2)実験は、初期配付の7,000ポイントから電力消費量に応じて控除し、実験終了後の残余ポイントを世帯に還元。3)控除率は太陽光発電による供給ポテンシャルに応じた需要を形成するよう設定。具体的には、晴天時には低く、雨天・曇天時には高い控除率を設定。4)実験開始前2週間、実験期間2週間、実験後2週間のデータを収集整理。5)世帯のパネルデータを構築し、実験群・対照群と実験前・実験中の交差項を利用するDifference in Difference(DID)法によって介入の真の効果を推定。 その結果、①ダイナミックプライシングによる真の電力消費削減効果は約5%程度であること、②プライシングと電力消費変化の関係より需要の価格弾力性は-0.73であること、が示された。 太陽光発電等の再エネを主力電源とする(地域)新電力会社がこのようなプライシングにより需給マッチを図る可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に掲げたフィールド実験による実証目標、すなわち、ダイナミックプライシングにより太陽光発電など供給能力の時間変動に応じた需要シフトを実現しうることを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
実証結果の汎用性を検証するため、別エリアでの可視化フィールド実験を計画中である。
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Causes of Carryover |
離島でのフィールド実験がほぼ完了し、別エリアでの地域実証を計画中であるため。 次年度使用額は別エリアでの地域実証等の経費に充当する予定である。
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Research Products
(4 results)