2016 Fiscal Year Research-status Report
家庭用水版スマートメータのインターフェースの開発-用途毎に「見せる」技術の検証
Project/Area Number |
15K00653
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50422382)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家庭用水使用量 / フィードバック / インターフェース / 顔文字 / 社会的規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
使用者に家庭用水使用量を「見せる」ことによって、使用行動が変化するようなインターフェースを開発するため、各家庭の水使用量を3種類の方法で2週間に1度、複数ヶ月フィードバックする実験を2016年11月より開始し、継続中である。これまで行ってきた研究では、水使用量の把握のため、各家庭に水道メータ値を2週間に1度読み取り報告してもらっていたが、読取ミスや読取報告が水使用行動に与える影響を排除することができない等の問題があった。そのため、電子的に水道使用量を把握するシステムが既に整っているマンション群およびスマートメータ実証実験を予定している自治体と交渉を行い、まずは前者で実験を行った。調査対象マンション群においては、水道使用量を把握するシステムは構築されているが、それをフィードバックするシステムがなかったため、その開発を行った。 フィードバックは、自分と類似した他者との比較を、顔文字を用いて行った。「自分と類似する他者」を2種類、「顔文字を用いた方法」を2種類、検証した。また、季節変動の影響を排除したフィードバックの効果を計測するため、コントロール群も設けた。水使用量は、1日毎のデータをシステムより取得し、分析を行っている。実験は半年継続し、可能であれば1年間継続する予定であったが、2017年3月に発生した広域停電の影響で、データ取得ができない状況が続いたため、半年経過する2017年4月末で終了する予定である。 前年度行った研究の成果を含む論文を投稿していたが、2017年1月に発行された。また、第87回水道研究発表会において、口頭発表を行った。3月の国際学会(Efficient 2017、テルアビブ)で発表予定であったが、開催地の治安悪化のため、学会が行われなくなったため、発表を行うことができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
約200軒の規模で、本調査を開始することができた。調査対象家庭は、電子的に水使用量データを取得できる家庭を見つけることができたため、1日単位での水使用量を把握することができている。そのため、調査から何回目でどのくらい変化したのか、というマクロな分析だけでなく、フィードバックされてから何日目にどのような変化があるのか、というミクロな視点での分析も可能である。一方で、電子データであるため、広域停電の影響でデータ取得がうまくいかなくなるというデメリットも生じた。しかし、幸いにも約5か月間のデータを取得した後であったため、分析に支障がでることはない。 また、インパクトファクタの高い海外ジャーナルに成果を発表することができた。さらに、官公庁を含む日本の水道関係者が集まる学会で発表することができたことも大きな収穫である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年の継続を考えていた調査を中止せざるを得なくなったため、2017年10月頃より半年間、もう一つ調査を行うことを計画している。これまでは社会的規範を用いたフィードバック実験を行ってきたが、個人の規範に訴えかけるようなフィードバックを行う予定である。 また、日本においては、夏季に一時的に生じる水不足が問題であるため、夏季に短い期間で水使用量を低下させるために効果的なフィードバックについて、実験を行うことを予定している。 さらに、2016年度の研究成果を、Nature Climate Changeに投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
2016年10月から開始し2017年3月に終了(もしくはそこから半年さらに継続)する予定であった実験の開始が、システム開発に時間がかかったため、2016年11月からになり、1か月後ろ倒しになった。そのため、納品および支払いが2017年4月になる予定であり、そのため、次年度使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
納品および支払いが2017年4月になるため、4月末に支払いを行う。また、実験の計画が1年から半年に短くなったため、夏季の短期的実験を行う予定である。
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