2016 Fiscal Year Research-status Report
文理融合型持続可能発展教育(ESD)の展開~江戸前の海をモデルとして
Project/Area Number |
15K00654
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
河野 博 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (90234707)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 持続可能発展教育 / ESD / 東京湾 / 海洋環境 / 魚類 / 環境教育 / ワークショップ / 江戸前の海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、①東京湾の湾奥(「大田区ふるさとの浜辺公園」を代表とする)で魚類を中心とした自然科学的な研究をおこない、② 持続可能発展教育(ESD)の場として「江戸前の海 学びの環」を①の結果も利用して沿岸地域住民との協働によって展開することによって、③ 沿岸域の利用や環境に関する合意形成システムを構築することを目的としている。そのため平成28年度は、以下の3項目を実施した。 1)ふるさとの浜辺公園では月に2日、計24回の調査を実施した。結果の一部は日仏海洋学会誌であるLa merで公表し、さらに日本魚類学会の年会で1件のポスター発表をし、さらに稚魚研究会では「ふるはま研究の紹介」をおこなった。また、一昨年度に調査した京浜島の魚類相の論文を東京海洋大学研究報告に発表した。 2)「江戸前の海 学びの環」の形成のために、小学生には「ちりめんモンスターを探せ」を3回(総参加者数は約70名)、中学生以上には透明骨格標本を使った「魚と私たちの関係」および「海の中の喰う・喰われるを体験しよう」というイベントを計7回(約80名)実施した。なお、透明骨格標本については、その有効性を調べるためにアンケートをおこない、東京海洋大学研究報告に論文を1本発表した。 さらに活動内容を広めるために、「江戸前の海の物語」という講演を4回、あるいは尼崎運河オープンキャナルフェスティバルや東北マリンサイエンス拠点形成事業に招待されて活動内容を発表した。 3)合意形成をはかる事例として、これまでのノウハウを宮崎県の都井中学校と琉球大学の宮古島水循環プロジェクトと共同して、ワークショップを開催した。来年度は、これらの修正点を考慮して、港区あるいは大田区でのワークショップを計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎月のサンプリング、「江戸前の海 学びの環」づくり、ワークショップと順調に研究は進んでおり、また論文公表や発表などによって成果もあげている。合意形成については、今年度は地元の港区での開催はなかったが、これまでのノウハウを別な場所で活かせることができた。 以上のことから、評価としては「おおむね順調に進展している」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
「ふるはま」での自然科学的研究、とくに魚類の研究は、今年度さらに採集方法を加えていろいろな発育段階の魚類を採集しようとしている。それが今年度には1年たつので、結果が楽しみである。さらに、これらに成果を「江戸前の海 学びの環」づくりの一環として同地域にある「大森海苔のふるさと館」との協働で、地域の方々に何らかの形で報告したいと考えている。これは、さらに同地域での合意形成の一環ともなり、今後合意形成システムを構築する上で重要であると考えている。 今年度に実施したイベント以上の回数と内容が期待できるが、それぞれについてきちんとデータを取得し、最終的な合意形成システムの構築にむけて、次年度も研究をすすめていく予定である。
|
Causes of Carryover |
3月の調査の資料整理に時間を要し、4月までかかったため、その費用が未使用となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に実施した資料整理の謝金として使用する。
|
Remarks |
自身のHPの中に、科研費の成果のページを作成しました。ただ、現在タグを作成中です。「東京海洋大学魚類学研究室」のページ<http://www2.kaiyodai.ac.jp/~hirokun/index-gyorui.html>にボタンを設置する予定です。
|