2016 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災後のエネルギー環境政策に関する市民討議の可能性
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15K00656
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 秀規 富山県立大学, 工学部, 講師 (40463111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熟議 / 市民対話 / 政治的態度 / 環境的態度 / エネルギー・環境ガバナンス / 社会調査 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
愛知、静岡、石川、富山の各県において、インターネットパネルによる社会調査を行い、東日本大震災後のエネルギー環境政策に関する無作為抽出型市民討議に対する市民の参加意思を明らかにした。特に、政治的、環境的、社会的態度と市民対話への参加意思との関係に着目した。およそ4割の回答者は市民による熟議への参加意思を示した。統計分析によれば、環境意識の高さは参加意思の高さにつながる一方で、政治的従順さと社会的消極性は参加意思の低減につながっている。また、環境意識の参加意思への影響度は、政治的・社会的な態度の参加意思への影響度よりも大きい。政治的に保守的な県において、政府が市民対話にもとづいて政策決定に必要な情報を生み出したり開示したりすることは、国レベルの市民対話への市民の参加意向を強める。無作為抽出型市民討議は、地域の政治的社会的特性に関わらず、環境ガバナンスの新しい仕組みとなりうることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定されていた愛知県及び静岡県での調査が行われた。あわせて石川県、富山県での調査も実施され、より興味深い分析結果が得られた。 初年度の成果については昨年度第1四半期に国際学術誌に投稿し、改訂・再投稿中である。昨年度の成果についても第4四半期に国際学術誌に投稿しており、査読中である。
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Strategy for Future Research Activity |
予定されている最終年度の愛知県及び静岡県での調査を実施する。昨年度の知見を踏まえ、他の地域での調査も併せて設計し、実施する。調査項目に関し、国際社会意識調査における調査項目との明示的な比較についても検討する。 初年度、昨年度の成果の出版を期するとともに、最終年度に得られる予定の成果についても国際学術誌への投稿準備を行う。実務家向けポリシーブリーフを作成する。
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Causes of Carryover |
当初予定されていた地域での予定されていたサンプルサイズ、質問項目数での調査に要する費用が、当初計画時の費用より低く済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画以外の地域での調査を行う。
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