2016 Fiscal Year Research-status Report
島原半島ジオパークにおける地熱利用の推進につながる実践的教育プログラムの開発
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15K00657
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
馬越 孝道 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (30232888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (50435468)
竹下 貴之 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (70344075)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地熱 / ジオパーク / 環境教育 / 地域振興 / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、島原半島ジオパーク・雲仙市小浜温泉の温泉バイナリー発電事業を核とする地熱エネルギー活用の取り組みと連携し、日本が世界第3位の資源量を誇る地熱エネルギーへの理解とその利用拡大に資する教育プログラムを、地球科学、社会政策、エネルギーシステム分析の研究者が協働して開発することを目的とする。 地球科学の分野では、雲仙火山の1995年以降の地震データの解析を行った結果、やや活発化の兆しがある高周波地震活動と火口直下浅部に推定されるマグマ溜まりとの関連性が示唆された。社会政策分野では、温泉発電事業に先行的に着手している土湯温泉(福島県福島市)、湯村温泉(山陰海岸ジオパーク)、小浜温泉の3つの温泉地について、事業の成立過程と成立後の状況(年次計画の達成状況、想定外の事態の発生とそれへの対応、未利用温泉熱の有効活用の方策等)を詳細に明らかにした。エネルギーシステム分析分野では、九州における地熱資源利用可能量を精査した上で、それを九州電力(株)の最適な電源構成を決定するシミュレーションモデルの入力データとして計算を行い、九州における地熱発電のコスト競争力について、様々なCO2排出量上限制約の下で評価を行った。 平成28年8月には、「島原半島の自然資源を活用した教育-火山・地熱エネルギーとまちづくり-」をテーマとする長崎県教員免許更新講習を、本研究の代表・分担者3名で実施した。平成29年2月には、小浜温泉において雲仙市・長崎大学共催による「地熱シンポジウムin雲仙」が開催されたが、この中で本研究のポスター発表を行い、地熱をいかしたまちづくりについて地元との意見交換を行った。 以上の結果およびこれまでに得ている資料等をもとに、教育プログラムの構成についてより具体的な検討を進めた。またこれと並行して、教育プログラム実施の際の利用を想定したホームページの作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、地球科学,社会政策,エネルギーシステム分析の分野それぞれにおいて、本研究で開発する教育プログラムの構成要素となり得る新たな知見が得られた。その結果を含む小浜温泉での取り組みを主要な題材としたエネルギー教育プログラムの設計と内容の検討も順調に進み、長崎県教員免許更新講習の場でその一部を実施した。さらに教育プログラムを運用する際の利用を想定したホームページの制作にも着手した。 全国のジオパークあるいは地熱エネルギー導入推進地域における取り組みについても、インターネット、ジオパーク全国大会、地熱関連のコンベンション等を通じて情報収集を網羅的におこない、今後の現地調査に向けた準備も整えた。以上により、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表・分担者が各担当分野の調査・研究を引き続き進めるとともに、これまでに得られた結果をコンパイルして、ジオパークの特色であるストーリー性を兼ね備えたエネルギー教育プログラムの試作版を完成させる。これを平成29年度島原半島内で予定されている長崎大学環境科学部フィールドスクールで実施し,実施後は学生へのアンケートや聞き取り調査等による効果測定を行う。さらにその結果をフィードバックしてプログラムの改善を図る。 現地調査については、前年度にヒアリングを行った3事例に対して追加調査を行うとともに、事例を拡充する。具体的には、松之山温泉(新潟県十日町市)、別府温泉郷(大分県別府市)、ゆざわジオパーク(秋田県)等を予定している。前年度の調査から温泉発電を活かしたまちづくりの進め方は、導入の目的や実施主体によって異なることが想定された。そこで本年度は、上記の仮説にもとづき、得られたデータの整理・比較を行い、温泉発電を活かしたまちづくりの進め方の共通性と異質性を明らかにし、異質性が生じた要因を考察する。また再生可能エネルギー利用を推進するジオパークとして抽出した地域において、ジオパークとリンクした地熱やその他の再生可能エネルギー利用の取り組みが地域にどのようなインパクトを与え、地域活性化に役立てられているかを調査する。 平成28年度に開始したホームページの制作を進めるとともに、それと対応したPDF版のブックレットの作成に着手する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Stress, strain rate and anisotropy in Kyushu, Japan2016
Author(s)
Savage M. K., Y. Aoki, K. Unglert, T.Ohkura, K. Umakoshi, H. Shimizu, M. Iguchi, T. Tameguri, T. Ohminato, J. Mori
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Journal Title
Earth and Planetary Science Letters
Volume: 439
Pages: 129-142
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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