2015 Fiscal Year Research-status Report
持続可能な社会の形成に向けた社会的企業の支援に関する研究
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15K00666
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
木村 富美子 創価大学, 法学部, 教授 (20225056)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中間支援組織 / 社会的企業 / 公共財 / 非営利組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.社会的企業台頭の背景を明らかにする研究:政府予算の削減、民間の寄付減少によるNPOの商業化、営利化、企業化が指摘されている。一方、イノベーションの担い手としての社会的企業家が注目されている。企業のCSR活動、社会貢献・社会志向、という新しい付加価値を加えることにより,一般の営利企業によるマーケット拡大戦略も含めて社会的企業論の概要を整理し、社会的企業台頭の背景を明らかにした。 2.社会的企業の現状分析:社会的企業には営利組織と非営利組織がある。営利組織については、CSR報告書、経済産業省のホームページなどにより社会指向型企業のデータを収集、非営利組織については、内閣府のNPOホームページ、所轄機関のホームページより「活動報告書」のデータなどを収集し社会的企業の現状と特徴を分析した。現状ではNPO法人は約5万法人が認証されているため、活動の種類と地域を限定してデータ収集対象とした。20項目ある活動の種類から「環境の保全を図る活動」「団体の運営又は活動に関する連絡・助言又は援助の活動」の2種類、地域では都道府県のうち数地域(東京都とその他2~3県)を対象とした。 3.支援論の吟味を検討する研究:寄付白書、ボランティア白書、NPO白書などをもとに資源提供(寄付、ボランティアなど)のデータを収集した。対象は2で示した地域とし、対象地域と全国データとの比較検討を行った。特に都市部(東京都)と地方との比較により、支援の偏在・地域差を明らかにし、収集したデータをもとに社会的企業が必要とする支援について整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本地域学会第52回全国大会にて研究報告:主として非営利の支援組織を対象とし検討した。日本の社会的企業が直面している課題の解決に取り組む中では、組織の持続可能性の面で,寄付・ボランティアの仲介や資金調達など多面的に支援する仕組みが重要である。課題解決に向けた取り組みに必要な支援にはどのようなものがあるのか,また,支援組織や支援活動が有効に機能するために必要な条件は何かを明らかにする目的で、主として非営利の支援組織を対象として,NPO法人財務データベースをもとに中間支援組織の概要を検討した。また、公共財の需要と供給の立場から、民有緑地の存在効果に関しても検討した成果を報告した。 学術雑誌への投稿論文採択:緑地の利用と供給に関する一考察、および脆弱性に関する追加検討として、レジリエンスの観点からの考察論文を紀要に投稿した。以上のように研究報告や投稿論文の採択など研究は計画通り順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2.社会的企業が果たす機能を検討する研究(木村、朝日が担当):1)起業段階:課題発見、課題の定義、解決案の検討と解決への準備、起業あるいはNPO法人設立に向けた資源調達(資金・人材・事務所・資材など)、活動開始段階での他組織との連携に関して研究する。2)起業初期:資源調達と解決案実行の試行錯誤、計画の見直し、再実行、結果の評価方法について研究する。3)事業継続期:課題解決手法の提案、モデル提示、他の組織との連携・協働など事業継続に当たってのノウハウの蓄積と伝達・広報などについて研究する。 3.支援論の吟味を検討する研究(木村、堀江が担当):データにより以下の概要を整理する研究:1)資源提供者(支援者):前年度収集した地域以外のデータを収集し、引き続き支援の偏在・地域差などについて確認し、その対応策についても検討する。2)資源需要者(社会的企業が必要とする支援):前年度収集した地域以外のデータを収集し、引き続き支援の偏在・地域差をもたらす要因を究明する。3)中間支援組織:中間支援組織の組織形態、機能を整理し、支援の偏在・地域差を乗り越えるために中間支援組織がどのような役割が果たせるのかを検討する。
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Causes of Carryover |
次年度に英文論文執筆の予定であり、その校閲費として翌年度分とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度予算の英文校閲費に86535円を加えて使用する予定である。
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Research Products
(5 results)