2016 Fiscal Year Research-status Report
野菜を育てる・食べる楽しみを提供する高齢者施設向け植物工場の開発
Project/Area Number |
15K00679
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
今泉 博子 千葉大学, 大学院工学研究科, 助教 (20746656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 寛道 千葉大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30361413)
高垣 美智子 千葉大学, 国際教養学部, 教授 (00206715)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 植物工場 / 復興支援 / 高齢者支援 / 地域学習 / 他世代交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、調査対象地である被災地・宮城県名取市の復興の段階が進んだため、その状況に合わせて調査対象を拡大し研究を行った。 (1)高齢者の興味を喚起する植物工場利用の模索:名取駅前に駅前サロンという新たな被災者支援施設が開設され、ここに新しく棚型の植物工場を設計・制作して設置した。駅前サロンに常駐している支援員の方とやりとりをしながら、できるだけサロン内で完結して利用できることを目指した。植物工場は1年間を通して自主的によく利用され、駅前サロンで行われる行事に向けて栽培を行うことが主な利用方法となった。駅前サロンの利用者のほとんどは高齢者であり、日常的に茶話を楽しみに訪れるため、ここで得た知見はデイサービス等へ応用することができる。 (2)公民館における地域住民を巻き込んだ植物工場利用の模索:閖上公民館、増田西公民館に小型植物工場を設置し、地域の子どもたちに植物の栽培・利用に関わってもらう研究学習イベントを行った。今年度は子どものみが対象となったが、来年度も同様のイベントを開催し、そこに地域の高齢者を呼び込む計画である。他世代交流の場づくりの下地を作ることができた。 (3)地元高校生と仮設住宅住民の交流の場づくり:宮城県農業高校の植物工場部員とともに植松入生仮設住宅にて年3回のイベントを行った。仮設住宅から高校に移設した植物工場で高校生が栽培を行い、植物を根つきのまま仮設住宅に運び、収穫・調理・試食を住民とともに楽しんだ。このような取り組みも3年目となり、研究者側からの綿密な指示無しに高校教員および高校生が積極的にイベントを組み上げ運営できるようになった。現在仮設住宅の住民はほぼ高齢者であるため、今後この取り組みで得られたノウハウは、高齢者施設と地域の教育施設との関わりへと応用することができると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の高齢者施設での調査には進んでいないが、被災地においてさまざまな施設にて高齢者との関わりがあり、他世代交流や復興と関係付けながら研究を進展させている。当初の計画よりも広がりを持って、植物工場の活用による高齢者支援について研究することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は当初より、宮城県名取市の復興推進と関係をもって進められている。今年度は復興の段階が進んだ影響から、その深度がさらに増した。来年度も復興と関係付けながら、植物工場活用と高齢者支援の関係について研究を進めていく。 (1)公民館における植物工場を用いた高齢者と子どもの交流促進:増田西公民館にて、1年間で全6回の子どもの植物工場研究イベントを行うことを予定している。植物工場の仕組みを学びながら植物を栽培し、収穫した植物で新たな地元の名産物をつくるという復興にも関連させた内容を計画している。計画の中では、伝統的な名産物の紹介や子どもたちの考えた名産物の評価について、地元の高齢者や駅前サロン利用者にも関わってもらうことを考えている。このように、公民館を拠点にして植物工場を用いた他世代交流の場をつくる中で、植物工場活用の新たな知見を得ることを目的としている。 (2)高齢住民の復興住宅への移住後の支援活動:現在、多くの高齢者が仮設住宅から復興住宅等に移り始めており、新しい地域コミュニティに馴染んで暮らしてゆくための支援が求められている。仮設住宅、駅前サロン等での植物工場利用促進を継続し、植物工場を用いたコミュニティづくりの支援を行う。 (3)地元高校生と小中学校を連携させることによる他世代交流の基礎づくり:宮城県名取市では復興の土台作りとして小中高連携を掲げている。そこで、宮城県農業高校と、公民館で展開している取り組みを、植物工場をつなぎとして連携させていく。この取組みにより、地域に他世代交流のための基礎を築く。
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