2015 Fiscal Year Research-status Report
音楽体験を拡張するための基盤技術とインタラクションデザイン
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15K00691
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Research Institution | Institute of Advanced Media Arts and Sciences |
Principal Investigator |
平林 真実 情報科学芸術大学院大学, その他の研究科, 教授 (10508477)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 音楽体験 / インタラクション / 音声ID / サウンドパフォーマンス / 音楽会場 / 高可聴域音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の前提となっている研究である高可聴域音による音声ID(以下USCと呼ぶ)を利用した観客が音楽に参加可能な音楽パフォーマンス作品について、6月にアメリカのルイジアナで開催されたNew Interface for Musical Expression (NIME) 2015 においてポスター発表を行い、今後の研究に繋がる意見や調査を行うことができた。 また、10月に岐阜県大垣市にて「ビジネス・テクノロジー・ミュージック」をテーマとしシンポジウムと音楽フェスが同時に開催されるPOSTFESというイベントの音楽フェスにおいて、比較的大きなホールにおいてUSCを利用した映像と会場内の照明システムを同時に制御する実験および実演を行った。この時のシステムを含めた照明制御システムに関しては、IPSJインタラクション2016においてインタラクティブ発表を行った。 USCを使った新規のシステムおよび作品として「Sense of Space」のバージョン2.0を開発しApple AppStore にて公開した。音楽パフォーマンスとしての実演は既に実施し、さらにサウンドインスタレーションとしての展示に向けた準備を行っている。 本年度の最終成果発表として、上記の「Sense of Space」バージョン2.0の発表と、音楽体験を拡張するようなプログラミングやダイナミックな処理を特色とした音楽イベントを3月に東京・恵比寿のKATAにて実施した。このイベントでは、Sense of Space 2.0 においては観客が音楽パフォーマンスに参加できるだけではなく、観客のもつスマートフォン同士が会場の音楽をトリガーとして相互作用を起こしていくことにより、観客同士の関係性をも音楽パフォーマンスに取り入れることで音楽空間の実現と音楽体験の向上を狙った実演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高可聴域音を利用したシステムについては、10月の音楽フェスティバルおよび3月の東京での音楽イベント等における実演を含めた新規の開発は概ねスケジュール通りに進展している。さらに、音楽会場におけるパフォーマンスや、インスタレーションとしての展示を踏まえたシステムの開発と調整を行ない、いくつかの予定が決まりつつある。また、これらの成果を論文や作品としてまとめて投稿等を行っているが、現状では大きな結果は得られていない。 技術的な開発面においては、android対応などのプラットフォームの拡充は進んでいるが、開発環境の変化に対応した書き直しが必要とされる部分もあるため対応を考慮している。音楽体験を拡張するためのツールとしての、各種デバイスの利用に向けてBLEを使ったシステムへの適用を順次行っており、音楽体験を拡張させるインタラクションデザインとしてイベント等を通して実験を行い次年度向けた開発の基盤となる開発を行っている。 アンケート調査によるアーティスト・パフォーマー等の出演者と観客との相互の意識調査については、予備的なアンケートや意見聴取を内部で実施して、現況についての大枠を捉えてきているが、さらに項目の精査し来年度中に実施する必要がある。 本研究の進め方であるシステム・作品の研究開発とイベント等による実証というサイクルにおいては計画は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もシステム開発とイベントを介した実験を行いながら成果を示していく。 既に音楽体験を高めるための手法として幾つかのイベントの実施とそのための新規制のあるシステムの開発が予定されている。一つは、360度映像などのVR的な空間を実空間である音楽会場と遠隔地の会場/演奏者が連携しながら、ネット上の観客を含めて共有するような音楽空間に関する実験を計画中である。さらに、これまでに開発してきた高可聴域音を利用した音声IDを使った音楽パフォーマンスおよびサウンドインスタレーション作品の新作も準備中であり、イベント実施日程も幾つか決まってきている。これらの対外的なイベントの他に実験的なイベントを行いながら、音楽体験を共有し臨場感を高めるためのクラウド環境などとの連携を試みながらデバイズ・ガジェットの開発を行っていく。 年度末には、これらの成果を実演するような対外的なイベントを行うことで、成果を発表していく。同時に、国内および国際学会への投稿、作品コンペティションへの出品を行い発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
会場使用料等が想定より若干安価になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
差額としてはわずかであるため、来年度における研究に繰り入れて使用する予定である。
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