2016 Fiscal Year Research-status Report
「茶」のトランスフォーム~「関係性の美学」デザイン理論の探求
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15K00695
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
森野 彰人 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 准教授 (30453088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 靖子 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (50363966)
松井 紫朗 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (60275188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 陶磁器 / 茶会 / 関係性 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は「行為」「形」への抽出から「関係性の美学」デザイン理論の探求を開始するとともに、「「茶」のトランスフォーム」の実践そしてさまざまな美的経験モデルの提案を行うため、再度調査を実施した。調査目的はヒト、モノ、コトの相互関係の中から新しい価値創出の実態と所作と結びついた道具が、人と人、人とものをどのように関係づけ、新しい文脈を形作るかを多角的に検証するものである。人と人の関係をつなぐ道具としての陶磁器の調査として景徳鎮で実施。景徳鎮の陶磁器は、元、明、清代には「青花」呼ばれる染付磁器の優品を輩出し、欧州、イスラム圏など海外諸国にも広く輸出され外交の道具として使われ、多文化な人と人を結びつけていた。現在も正解的な陶磁器の生産地として人と人、人とことを結びつける道具としての陶磁器が盛んに生産されている。また、共同生活における人と人の関係性と、共同生活における空間と道具がどのように人と人の関係に関与しているかを福建省、客家土楼にて実施した。福建省は現代においても「茶」の産地であり、「茶」が現代の生活様式、社会・文化的制度の中で人と人、人ともの、人とことをどのように結びつけ「行為」「形」という形で抽出を行う試作に結びつくことが容易に予想できる。また、実践として京都市立芸術大学にある美的経験装置にさらなにを加え美的体験の検証を続けている。 美的経験の為のさまざまなモデル、「「茶」のトランスフォーム」の実践成果として、研究代表者の森野は自身の個展にて、瑠璃釉金彩茶入れや茶碗など様々な美的経験の為のさまざまなモデルの試を発表した。また共同研究者の松井と共に、東京、寺田倉庫本社2F「OMBLE」にて実験的茶会として「手に取る宇宙の茶会」を実施した。共同研究者の松井はこの茶会の延長として富士山山頂にて「手に取る宇宙の茶会」を再度実施し、茶会で使用する様々な道具の試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度、中国の景徳鎮、客家土楼調査は当初の予定ではなかったものですが、人と人、人とことを結びつける道具としての陶磁器の検証と共同生活における人と人の関係性、人と空間との関係性の検証は「「茶」のトランスフォーム」の実践とさまざまな美的経験モデルの提案を行う上で非常に重要な調査となった。京都市立芸術大学にある美的経験装置における美的経験の検証も進展をみせる一方で、美的経験の為さまざまなモデルの試作、「茶」のトランスフォームの試作も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の29年度は下鴨神社資料館秀穂舎やその他、様々な場で「「茶」のトランスフォーム」の実践として様々な実験的な茶会を実施する。「行為」「形」への抽出を模索し、「関係性の美学」デザイン理論の探求ととして、さまざまな美的経験モデルの試作を進め、成果発表へ備えていく。
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Causes of Carryover |
人件費としての支出がなかったこと、美的体験装置、モデル試作費としての消耗品費が安く実施できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
美的体験装置、とモデル試作の為の消耗品費に当てる。
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