2016 Fiscal Year Research-status Report
錯視の影響を考慮した中遠視距離における文字表示指標の構築
Project/Area Number |
15K00699
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 章夫 湘南工科大学, 工学部, 教授 (20567763)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | コミュニケーション / メディア情報 / コンテンツ / インタラクション / インタフェイス / フォント / 錯視 / 視認性 |
Outline of Annual Research Achievements |
視距離がある電子表示板に表示される文字情報は,視認性と情報量のバランスが重要であるが,コンテンツ制作者の感性に頼っているため定量化された明確な指標が存在しない.本研究は,認知科学における知覚の恒常性(錯視効果)を考慮した視距離による文字の知覚的大きさと視認性に関わる主観値を定量化し,相互の関係を明らかにするものである.これによって,視距離による表示文字の視認性を担保した文字の大きさ推定が可能になる. 平成28年度は,電子表示板と利用者との視距離が任意に調整可能な静的視対象文字の知覚的大きさと視認性の関係を明らかにするために,前年度に構築した知覚的大きさと視認性の評価環境を改良し,屋内教室でのプロジェクタ視聴を想定し,15mまでの視距離で評価実験を行った.その結果,奥行き感を感じる明視状態での知覚的大きさが,奥行き感を感じない暗順応後の完全暗視状態での知覚的大きさに比べ相対的に大きく見え奥行手掛かりによる錯視が発生していることを確認した.その一方で,ランドルト環を使用した視力検査で明視状態と暗順応後の完全暗視状態との間で視力値に有意な差は生じなかった(論文執筆中). このことから,奥行手掛かりによる錯視から生じた知覚的大きさ(錯視)が視力に影響を与えないことが明らかになった.そこで,視力から算出した視角と視距離から電子掲示板の視力値に対応した解像度を求め目前にあるPCモニタで視距離がある電子掲示板の視認性を確認するシミュレータの開発に着手した.次年度は,このシミュレータを使い評価実験を進めシミュレータの実用化を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
28年度は,完全暗視環境を構築するために教室内の遮光に時間を費やした.そのために評価実験が遅れた.しかしながら,知覚的大きさが視認性に影響を与えないことが明らかになり,今後の評価実験は明視状態で行うことができるため,暗順応の時間コストを省くことで評価時間の短縮が可能になった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の評価実験は,視認性(視力)を元に視距離がある表示物を手元のPCモニタで再現するシミュレータを使い大幅な時間短縮が見込まれるため,当初の計画どおり最終年度内に成果を出せる見込みである.
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Causes of Carryover |
評価用プロジェクタの選定が遅れたために発生いたしました.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
評価用プロジェクタを4月28日に導入し研究を進めております.
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Research Products
(3 results)