2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K00702
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Research Institution | Gihu University of Medical Science |
Principal Investigator |
杉浦 明弘 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 助教 (00528630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 宗樹 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40398855)
田中 邦彦 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 教授 (60313871)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 映像酔い / 臨場感 / 前庭電気刺激 / 重心動揺 / 主観的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,視覚情報および平衡感覚情報をそれぞれ制御し,映像酔いや臨場感に与える各感覚器の影響の程度を調査している.2016年度は,映像の特徴とVEPRsの関連性についてさらなる検証を行うとともに,視覚刺激とともに前庭電気刺激を加えた状態での生体信号計測実験を実施した. 映像の特徴とVEPRsの関連性については,2015年度までは,前後もしくは左右一方向にのみ,往復正弦運動する映像を視聴した場合の重心動揺計測を行なっていたが,2016年度は1)左右斜方向(45度)へ運動する映像を視聴した場合,2)雑音成分を主映像運動成分とは異なる方向へ付加した場合の検証を行なった.その結果,1)では,正面を向いた姿勢で左右斜方向へ運動する映像を視聴した場合よりも,画面に対して斜位に構えた状態で前後方向へ運動する映像を視聴した場合の方が,映像への同調精度が高い傾向にあることが明らかとなった.これは,体位が不安定な状態で映像を観察すると,映像から受ける影響が増加することを示唆しており,体位の安定性が臨場感に影響をおよぼすものと推測される.また,2)では,雑音の付加割合に比例し,さらに,映像の主運動方向に雑音を加えるよりも,異なる方向に雑音を加えたほうが,映像への同調精度は低くなる傾向が認められた.大局的な成分に雑音成分を付加することで,臨場感が制御できる可能性を見出すことができた. 感覚器抑制技術を用いた映像酔いの要因検討については,実験で使用する前庭電気刺激装置の準備が整い,従前より実験で使用してきた往復正弦運動を有する映像(0.25Hz)の視聴に合わせて,前庭交流電気刺激(2mA)を同時に加える検証実験を行なった.現時点では結果の精査中ではあるが,概ね,視覚・前庭刺激単独よりも同時刺激(位相差の有無に関わらず)の方が,主観的な酔い傾向が強いことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,2015年度より,感覚器抑制技術を用いた映像酔いの要因検討を行う予定であったが,実験機材のカスタマイズの必要があり準備が遅れたため2016年度中旬ごろからの実施となった.そのため,2017年度も引き続き年次計画(2)の感覚器抑制技術を用いた映像酔いの要因検討を行う.また,2016年度に実施した実験において,主観的評価からは,映像酔いの兆候が検出されたものの,客観的評価として実施した心拍変動の計測および解析結果については,体位の影響を受けていることが明らかとなり,適切な評価が困難であることが確認された.そのため,プロトコールは同じものとして,従来立位で実施していた実験を,2017年度は臥位でも実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで立位で行ってきた実験を2017年度より臥位でも実施し,映像酔い兆候を主観的評価及び心拍変動解析の両者から検出可能か確認する.臥位で実験を実施すると,重心動揺の計測が困難であるため,本実験の後に行う予定である,臨場感の客観的評価が困難となる.そこで,呼吸(胸郭の動き)の計測も合わせて実施し,呼吸の計測から酔い兆候が認められるか確認する. 2017年度実施計画予定であった,臨場感の客観的評価と映像酔い兆候の同時計測については,上記実験の結果を確認後,取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
本研究に関わる学会参加費および旅費が,共同研究者の研究費より支払われたため,旅費として使用する計画であったものが執行されなかった.また,研究成果発表が次年度に持ち越しとなり,論文投稿料や英文校正費用が十分に執行されなかったことが理由として考えられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画変更に伴うHMDの購入(約8万円),消耗品(電極等),実験被験者への謝礼,国内外学会参加費および旅費,英文校正費用,論文投稿料などに使用する予定である.
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