2016 Fiscal Year Research-status Report
人間の視覚行動からみた都市パターンの設計基準に関する基礎的研究
Project/Area Number |
15K00704
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
西應 浩司 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (70364239)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 迷路探査 / シミュレーション / 歩行空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では異なる2つのタイプ(不規則に曲がった街路IR、格子状街路GR)の混合比率を変えた3つの実験街路A(IR50%、GR50%)、B(IR30%、GR70%)、C(IR70%、GR30%)において、これからの都市設計を行う際に適切な混合比率を調べる実験を行っている。平成28年度は実在の都市の中で実験を行った。実験協力者数が当初予定の人数に到達していないが、現段階での結果を述べる。街路Aは、歩行案内では進路選択の判断が難しいが、到達率の高さから、進路決定に使用する記憶の精度は高いと推察される。3D案内では、目的地到着までの時間は早いが、到達率の低さから、進路決定に使用する記憶の精度は低いと推察される。街路Bは、歩行案内では、他と比較すると記憶に残りやすい。3D案内では、他と比較すると記憶に残りにくいと考えられる。街路Cは、歩行案内では、目的地到達までの時間は早いが、到達率の低さから、進路決定に使用する記憶の精度が低くなる性質を持っていることが推察される。3D案内では、目的地到達までの時間は遅いが、到達率の高さから進路決定に使用する記憶の精度が良いと推察される。 以上により、歩行案内では街路Bが最もわかりやすい街路だと推察される。また、CGによる空間歩行が、設計で重要視されることを考えれば、CG空間内では街路Cがわかりやすい街路として評価される可能性がある。しかし実際に歩くと街路Bが良い結果が出ている。これは、CGによる現実の都市、仮想空間での都市、各々の設計時に分かりやすい混合比が存在する可能性を示唆している。 また、2つの異なる街路パターンの接点で前後の歩行速度、認知地図の距離の誤差を比較すると、不規則に曲がった街路と格子状の街路の比率で比例しない。これは異なる性質の街路へ移動する際、生じる空間認識のモードの変化を示している可能性がある。今後、分析方法の検討が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は予定していた本実験を80%(実験協力者数が80%という意味)程度、終えることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本実験は80%程度、終えた。残り20%程度の実験協力者数を確保して実験データーを量的に完全な状態に近づける。
|
Causes of Carryover |
平成28年度に実施予定であった実験協力者数が完全ではなく、謝礼の予算が残っている。 また、購入予定であったもう一台のヘッドマウントディスプレイを購入しなかったために、次年度使用額が生じた。この理由としては、既に購入している器機を一台を使用することで、実験の遂行について当初予想していたようには遅くならなかったこと、また、製品の型の更新期にあたっており、もう一台の機器について適切なものを選定することが困難であったことがあげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度、不足分の実験協力者を確保し、実験を行う予定なのでその謝礼として使用する。ヘッドマウントディスプレイは現在購入済みの器機とあまり大きな差の生じないスペックを検討し、適切なものがあれば購入する。無い場合は、現在購入済みの機器で、実験を遂行するように実験計画を調整する。
|