2015 Fiscal Year Research-status Report
子どもの主体的な地域活動を支援するためのドキュメンテーションスステム開発
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15K00709
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
曽和 具之 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (00341016)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ドキュメンテーション / ワークショップ / 共同学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては、(1)先行研究(平成24~平成26年)において得られた映像データの分類と分析、(2)映像データ共同編集ソフトウェアの必要条件の抽出を行った。(1)先行研究(平成24~平成26年)において得られた映像データの分類とデータベース化:本研究では、映像 データを、『協同と表現のワークショップ-学びのための環境のデザイン』(東進堂、2014年)の中で、原田が提唱した「ワークショップデザインプロセスの中でのドキュメンテーションの位置づけ」手法に基づいて、1.事前の準備や活動進行のためのミーティングシーン、2.活動している自分の姿を視点を変えて確認できるシーン、3.活動の全体を振り返り自らその意味付けを行うためのシーン、4.出来事をコンテンツ化し、プロモーションとして使用できるシーンに分類し、撮影時間数、カット数、編集時に利用された回数などの視点から、データの一部をサンプルとしてデータベース化した。(2)映像データ共同編集ソフトウェアの必要条件:先行研究において記録された映像データは、フルハイビジョン(1920× 1080ピクセル)で保管されており、10テラバイト以上の大容量となっている。また、子どもたちが利用しやすいグラフィックユーザインタフェースをデザインする必要もある。このため、以下の点を解決できるソフトウェアの設計を行った。1.実データとサムネイルデータをリアルタイムに切り分け、容量の小さなデータ でのクラウドが可能なデータ圧縮ができること。2.複数で映像を編集するため、データの同期が確実にとれること。3.子どもでも使用可能なグラフィックユーザインタフェースを備えていること。映像のクラウド化技術に関しては、コンピュータおよびネットワークに関する専門的な知識を有するため、プログラマーの協力を得た。また、グラフィックユーザインタフェースデザインの作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度研究当初に予定していた映像データのデータベース化について、当初想定よりも、分類項目が増大したため項目の整理が年度内に終了していない状態となった。このため、平成28年度においても、データベースを本格稼働させるための、要素決定作業を継続して行う必要が生じている。また、本研究は、実際の記録活動と同時並行で行われているため、データベースへの反映が当初予定の平成24年~平成27年度分のうち、平成27年度分を優先して分析しており、過去のデータの分類整理が遅れている傾向にある。 なお、子どもたちへのドキュメンテーションリテラシー教育システムは、予定より順調に進んでおり、平成28年度にはソフトの提供を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は以下の点に重点を置き、研究を推進する。 (1)システムの運用および調整 平成27年度において構築されたシステムを用いて、連携機関の協力を得て、実際の活動の中で運用しながら、課題解決に努める。特に、1.データベースによる効果的な映像検索、2.同時編集時のソフトウェア処理能力、3.直感的に使用できるグラフィックユーザインタフェースについては、重点的に使用状況を把握し、改善策を提起する。 ただし、データベス化にやや遅れが生じているため、年度前半は、データベース構築も行う。 (2)子どもたちに対するドキュメンテーションリテラシー教育の実施 先行研究においては、デジタルドキュメンテーションを行う研究者および学生のリテラシー教育を実践してきた(曽和・池本, 2015)。ドキュメンテーションは、学びの上で大切な表現方法の一つであり、私たちが求めるのは、才能がある個人の特別な表現ではなく、誰にでも表現ができ、多様な個人の集まりの中 で参加や対話を通してコミュニケーションをとりながら、すりあわせ、落とし込んでいける能力である(茂木, 2014)。そのため、研究者や学生のみならず、活動に携わっている子どもたち自身にもドキュメンテーションリテラシー教育を実施し、参加と対話をもってドキュメンテーションを作成する環境を用意する。
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