2016 Fiscal Year Research-status Report
小石原焼と小鹿田焼の里における文化的景観表象の分析と評価
Project/Area Number |
15K00711
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山下 三平 九州産業大学, 工学部, 教授 (50230420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 洋子 久留米工業大学, 工学部, 教授 (30290828)
丸谷 耕太 金沢大学, 人間科学系, 助教 (50749356)
林 珠乃 龍谷大学, 理工学部, 実験助手 (60721537)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 民芸運動 / イメージマップ / 写真投影法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では伝統的陶芸の里である,福岡県東峰村の小石原焼の里と大分県日田市の小鹿田焼の里を対象地とし,第二次産業の文化的景観の保全と活用,実践的な地域デザインのための,景観表象の抽出と評価をすることを目的とする.その課題は以下の3点である: ①小鹿田焼の里の陶芸家の景観表象〈場とシーン〉を地図と写真を使って把握.②小石原と小鹿田の来訪者が注目する景観表象〈シーン〉を写真を使って把握.③両里の陶芸家と来訪者が注目する景観表象〈場とシーン〉を比較・評価・抽出. これらの課題について,計画に基づき,本年度は以下のことを実施した:1)2015年8月に実施した小鹿田窯元のヒアリングの結果を,丸谷と林がそれぞれ,文章と図面で整理.2)2016年5月に小鹿田窯元への写真投影法調査を実施し,7月に福岡からの学生40名による小鹿田と小石原の写真撮影調査を実施.3)前者は昨年末にデータを整理して図面化.後者は成果を文章化.ただし,後者のデータは見直しが必要. その結果,小鹿田と小石原の窯元/家族の捉える里の景観の表象とその評価に特徴的な相違があることがわかった:まず主対象については,小鹿田の場合,作業様相に特化し,人物を対象とするものも多い.一方,小石原では,道とサインが1割以上撮影され,人々の移動・誘導に関する事物の関心が高い.つぎに評価については,小鹿田では小石原以上に,身近な景観を評価の対象としない傾向が明確である.また,小鹿田では余暇の生活を示す人間の姿が肯定的に表される一方,小石原では人々の誘導の基盤である道については肯定的だが,誘導の手段であるサイン類には否定的な傾向を示す.さらに小鹿田に関しては,作業様相,人間・生業/生活,道具と場の多様性,および空間の多様性が顕著であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度から平成28年度の初頭に延期になった,小鹿田窯元による写真投影法調査も,5月に無事実施することができた.また,平成28年度の予定どおりに7月に,小鹿田と小石原で来訪者による写真撮影調査を実施することができた. 平成27年度の調査結果は,平成28年度末までに,研究発表し論文発表することもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに予定していた調査をすべて実施することができた. 今後は上記の成果に加え,さらに以下の分析・検討を実施する:1) 小鹿田と小石原の皿山を中心に,重要な場所ほかを分析する.2) イメージマップについて,土地利用の持続性を指標として,マクハーグメソッドによってGISオーバーレイ分析をする.3) 来訪者と窯元/家族との景観表象/評価の違いをもとにして,景観計画ならびに同保存計画の運営に関する考察と提言をまとめる. 平成29年度には学会等での研究発表をさらに実施するとともに,シンポジウムを小鹿田/小石原で実施して成果を還元し,報告書として成果を総括する予定である.
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Causes of Carryover |
研究打ち合わせの回数が2回ほど少なく実施したため,予定より交通費の支出が少なくなった.研究計画の執行においては特に問題ないので,平成29年度の成果発表をより充実させることにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シンポジウムの開催,国際会議での成果発表などを予定し,研究成果の公開を強化する.
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