2016 Fiscal Year Research-status Report
社会様態の変化を促し環境負荷を低減する積層造形(AM)技術利用シナリオの設計
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15K00715
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 伸亮 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 製造技術研究部門, 主任研究員 (40336516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 寿丈 明治大学, 理工学部, 教授 (30236559)
木下 裕介 東京大学, 工学部, 講師 (60617158)
福重 真一 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (10432527)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 積層造形 / ビジネスモデル / 生産システム形態 / 分散型生産システム / シナリオモデリング / 持続可能性設計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までに実施した積層造形技術(以下、AM技術)の環境負荷、コスト評価のためのインベントリデータ等の収集を継続するとともに、AM技術が生産システムやサプライチェーンの形態、ユーザの消費行動、ビジネスモデルなどにどのように直接的・間接的に影響を与えうるかを表現する「部分シナリオ」を広範な範囲の生産システム技術専門家との議論を通じて収集した。 AM技術は、製造の世界で現在進行しているInternet of Things(IoT)と相互作用して、生産と消費、資材の流通の在り方を大きく変化させうるとともに、製品設計および製造に従事する様々な組織の人員構成や働き方までをも変革しうることなどが一連の議論を通じて浮かび上がった。収集したこれらの部分シナリオから、AMの使い方を設計する上で特に重要となるコンセプトを(1)分散型生産システム、(2)高度なカスタマイズと高密度な地産地消、(3)新たな価値セクター(製品のカスタマイズ情報だけを販売する人や、様々な製品をインテグレートする、あるいは、複数製品の接続部分を調整する人など)の登場とそれに伴うパワーシフト の3点に集約して検討することを決定した。 さらに、上記3点を表現したAM技術の「使い方」を評価・設計するためのツールおよび指標についての基礎的検討を実施し、Sustainable Development Goals(SDG)等の一連の評価指標に関する文献調査を実施した。 関連して3件の国際会議発表(発表論文は査読付き国際誌に同時掲載)、1件の国内会議発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AMプロセスのエネルギー消費量などのインベントリデータを記載した基礎的文献の調査は終了した。また、生産システム全般にかかる様々な専門家との議論を通じ、AM技術が製品ライフサイクルおよび製造システムのサプライチェーン全体にわたって与える影響因子を広範に抽出することができた。さらに、これらの議論を通じ、AM技術が効果を発揮しうるような生産システムの様態および、ビジネスモデルに関して一連の仮説を形成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで得られたインベントリデータ、影響因子モデルをもとに、AMによって可能となる生産様式およびビジネスモデルシナリオを複数作成し、持続可能性の観点からその有用性の評価を行う。評価に際しては、簡便な離散事象シミュレーションモデルを作成し、複数のシナリオについて価値、環境負荷、コストがどのように現状シナリオと比較して変化するかの評価を行う。一連のシミュレーションを通じて、評価手法を形式化・ライブラリ化するとともに、AM技術の「使い方」を生産システム様態およびビジネスモデルの視点から設計し、本プロジェクト成果の取りまとめを行う。
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Causes of Carryover |
成果発表を予定していた国際会議がたまたま国内で実施されたため、今年度は旅費使用を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外開催の会議を含め、成果発表および情報収集のために本プロジェクトの目的に合致した会議への参加を検討する。また、外注等も視野にいれ、より広範な範囲でインベントリ―データや消費者の振る舞いデータの収集を行うのに利用する。
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